(鉄筆)大学生などを対象にした…

大学生などを対象にした国の奨学金制度を改革する動きが出ている。ただ、政府が給付型奨学金を、早ければ平成29年度にも創設する方向で検討する旨を示した「ニッポン一億総活躍プラン」が了承される予定だった5月31日の臨時閣議が、政局がらみで行われなかった。

国の奨学金は現在、有利子・無利子の貸与型しかない。OECD加盟34カ国のうち給付型がないのは、日本とアイスランドだけだという。後者の国はしかし、大学の授業料が無料だが。

多くの学生などにとって貸与型は、学業を維持する上でたいへん大きな役割を発揮し、約半数がその恩恵に浴している。だが、最近の傾向として、卒業後に返還しない延滞者が問題化。奨学金制度や「お金を借りる」ことについて、学生側の理解が乏しいのが一因だともいう。26年度に日本学生支援機構が実施した調査では、驚いたことに、延滞者のほぼ半数が、奨学金に返還義務があるのを「借りる手続きをする前に知らなかった」と回答していた。

こうした状況の中で給付型奨学金を導入すればどうなるか。本来の目的から外れた使い方をしている学生もいるとされる中で「お金を野放図にばらまく制度になる」事態にもなろう。

最終的には税金の投入となろうが、財源の制限などで全員が給付型の恩恵を受けられるわけではない。「貸与型の無利子の枠を広げたり、良い成績を修めた場合の返還免除を拡充したりと、現行の制度にも改善できる点はたくさんある」と指摘する識者もいる。こうした課題についてもっと議論してよいのでは。

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