(鉄筆)今年のノーベル生理学・医学賞…

今年のノーベル生理学・医学賞が東京工業大学フロンティア研究機構の大隅良典栄誉教授(71)に授与されると10月3日、スウェーデンのカロリンスカ研究所が発表した。

「飢餓状態に陥った細胞が自らのタンパク質を食べて栄養源にする自食作用『オートファジー』の仕組みを解明した」のが授賞理由。門外漢にはなにやら難しいが、がんや神経疾患の発症などとも関連しているという。治療法の開発につながると期待されている。

それにしても、日本人の自然科学系のノーベル賞受賞者は、1949年の湯川秀樹(物理学賞)から数えて大隅氏で22人に達している。文学賞2人と平和賞1人を加えると25人になる。特に生理学・医学賞は、昨年の大村智氏に続き計4人となった。

受賞の陰には、これまで曲がりなりにも基礎研究を重視してきた日本の研究風土にあるとの分析が有力だ。東工大の三島良直学長は、受賞が伝えられた3日の記者会見で「大隈先生の研究に臨む姿勢は、基礎研究に真摯。そして人のやったことのないことをやるというのが成果につながった」と話している。

大隈氏自身も、地道に基礎研究を続けてきた理由について「『役に立つ』という言葉は社会をとてもだめにしている。本当に役に立つことは、10年後かも20年後かもしれないし、100年後かもしれない。科学を1つの文化として認める社会にならないかと強く願っている」と述べている。成果主義は、それだけでは根を失う。基礎研究に人的にも物的にも予算を投じる哲学が、科学行政には必須だといえよう。

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