(鉄筆)最近、心温まる話題…

最近、心温まる話題に接する機会が、めっきり少なくなった。だが、1月23日から豪雪に見舞われた鳥取県智頭町の国道での出来事には心打たれた。最大300台以上の車が立ち往生して、24時間以上も車内で過ごしたドライバーなどに、沿線の住民らがおにぎりなどを配った。

読売新聞によると、同町の住民宅に、渋滞中の車の男性が飲料の自動販売機の場所を聞きに来た。その際、そこの住民は地区の区長に相談して、すぐに集会所を一時的な避難所として開放。トイレの貸し出しはもとより、約20人がかりで、おにぎり約600個、みそ汁約400杯を作って提供したという。

また高速バスの車内で発熱した女児を集会所に引き取り、救急車を呼ぶなど、地区が2日間一丸となって、ドライバーらを世話した。副区長の男性(59)は「何とかしないとという気持ちで、みんなが協力してくれた」と振り返る。炊き出しに参加した女性(55)は「自分もいつどこで同じ目に遭うか分からない。お互いさま」とさりげなく話す。この無償の行為についてドライバーらからは「ほっとした」「ありがとう」など感謝の言葉が聞かれた。

多くの自治体では通常、こうした事態が生ずれば、自衛隊に災害派遣要請をして解決する手段を取る。鳥取県も今回、自衛隊を要請した。でも、同町の町民のような自然発生的な無償の行為との連動が、真の災害対策につながるのだろう。

町民は、自分たちに今できる手助けに、とにかく動いた。足取り軽いその姿から、「考える道徳」の生きた素材もとれそうだ。

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