(鉄筆)安倍晋三首相の私的諮問機関で…

安倍晋三首相の私的諮問機関で有識者による教育再生実行会議は昨年12月末から「学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実」をテーマに議論を開始した。至極当然のテーマ設定で、むしろ遅すぎる感は否めない。その中に「家庭教育の在り方」が入っているため、議論自体を問題視している識者がいる。

全国紙の1つは「学校の負担を減らすために、家庭や地域に役割分担を求めるというが、提言の中身によっては、多様化する家庭の在り方に国が枠をはめることになりかねない」との批判的な記事で構成されていた。

問題視する理由は「家庭はプライベートな領域であり、国が家庭に介入する方向の議論にならないよう注視する必要がある」(私立大学教授)、「独り親や貧困家庭など、今の子どもたちの家庭環境は昔に比べて様々だ。画一的に『家庭の教育力』を求めても実現が難しい」(県立高校教諭)など。

確かに、国が家庭に介入し、かくあらねばならぬと同調圧力をかけてくる政策や社会の在り方が指向されるのなら、それは民主主義でも国民主権でもない。だが、社会を構成する単位は家庭とそこで暮らす一人ひとりなので、その状況や在り方を探らずに、政策の方向性を考えないでよいとは決していえない。

文科省は静観の構えで、松野博一文科相は記者会見で「教育現場の教育力が低下することのないよう、学校・家庭・地域が担うべき役割を明確にし、家庭・地域の教育力の向上で検討してほしい」と述べるにとどまっている。より良い方向の論議が行われるよう望む。

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