(鉄筆)米国第45代ドナルド・トランプ大統領の…

米国第45代ドナルド・トランプ大統領の発言やSNSでの発信がなにかと物議を醸している。歯に衣着せぬ物言いと内容に反発を感じながらも、ついついニュース画面に見入ってしまうときもある。

ネット上には「トランプの名言」をまとめたサイトがある。「成功への道を開く絶好の方法は努力と勤勉さ、そしてうまくいかないことよりうまくいっていることに目を向けることに尽きる」「私はひたすら歯を食いしばることで大きな挫折を何度も乗り越えた。屈することも諦めることも拒んだ。目的を曲げずにいれば、大きな成果が得られる」。

この名言サイトには、言葉の出典が示されていない。その危うさを承知した上で、あえてこれらを読むと、なるほどと首肯できる部分もある。だが、入国禁止をめぐる司法とのやりとりは「うまくいっていないこと」なので、大統領がまだここに力を入れるのは自己矛盾なのではないか。それとも、やはり「目的は曲げない」のか。歯を食いしばって努力しても、大統領の一言でそれ以上進めなくなった人はどうするのか。個人の努力ではどうしても乗り越えられない社会的な問題に、米国は蝕まれているのではなかったのか。

電脳世界に国境は引かれていない。一国至上主義は、原理的にもはや幻想でしかない。一方、米国民のおよそ半数が入国禁止の大統領令を支持している現実もあるようだ。

今、米国が直面しているのは、戦争の20世紀を超え、テロの21世紀を超えた、国の新たな在り方や人の生き方を探る、産みの苦しみなのかもしれない。

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