(鉄筆)生徒の教師への暴力被害と…

生徒の教師への暴力被害とその対応について大きな関心を呼んでいる。きっかけは、NHKの「クローズアップ現代+」(8月10日放送)で、「教師への暴力」問題が取り上げられたことだ。

番組では実際に暴力を受けた教師や、暴力事件が起きた学校の元学校長が取材に応じた。小学2年生の男子児童からバットで後頭部を殴られた20代の教師は、「耳がつぶされるような感覚だった」と回想する。その後聴力が回復せず、打撲の痛みも残り退職を余儀なくされたという。体の傷は次第に癒えても心の傷は残る。

被害に遭った教師は、警察への通報について「必ずすべき」と主張する。子供に「駄目なものは駄目」と教えるためにも、暴力を受けた教師を救うためにも。

一方、暴力事件を警察に通報しなかったという元学校長はその理由を「警察の力を借りることは学校の負けであり、教師の負けだと考える」と発言。

そもそも教育の場で勝ち負けを判断の基準とすることに強烈な違和感はあるが、教師を生死の危険にさらしてまで守りたいものとは何であろうか。番組内では通報によって暴力を振るった子供の将来が閉ざされてしまう可能性を案じる意見もあったが、暴力を公にたださぬまま彼らの将来を保証できるのか。

紹介された事例は氷山の一角であろう。犯罪の可能性をはらんだ教師への暴力行為は学校内で判断、解決する範疇(はんちゅう)を完全に超えている。これ以上学校で全てを抱え込もうとすれば、ただでさえ減少している教員志望者がますます減ってしまうのではないか。

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