(鉄筆)「最貧困層にとっては、人的資本が…

「最貧困層にとっては、人的資本が唯一の財産である場合が多い。人的資本はまた、持続可能で包括的な経済成長の重要な推進力でもある。にもかかわらず、国民の健康や教育への関心は十分とは言えない。今回発表した指標は、保健・教育分野における達成度と生産性・経済成長との明確な関連性を示している。これにより各国が、直ちに人への投資をより積極的に、より効果的に行うことを期待したい」。

世界銀行の年次総会(10月11日)で、新たに設けた国別の「人的資本指標」に言及したジム・ヨン・キム総裁の発言だ。この指標は、子供の健康状態や学習状況などを国・地域別に評価し、子供が18歳になるまでに得られる労働生産性を測るもの。良好な健康状態で質の高い教育を十分受けた子供が多いほど労働生産性も高まる。

0から1(最高点)の段階で評価し、例えば、0.5と評価された場合、その国や地域は本来得られるはずの経済力のうち半分しか獲得できないことを意味する。対象となった157カ国中、最も評価が高かったのはシンガポール(0.88)で、2位が韓国、日本は3位(0.84)だった。上位はアジアや欧州諸国が占め、ワースト10はいずれもアフリカだった。

「人的資本指標」を通して日本の子供たちの保健・教育環境を見直すことも重要だが、世界には健康的な生活や質の高い教育など望むべくもない子供たちが数多く存在する事実に目を向けたい。世界で起こっている深刻な問題を対岸の火事とみる国から、本当に豊かな人的資本は生まれない。

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