(鉄筆)先日、群馬県立土屋文明記念文学館で

 先日、群馬県立土屋文明記念文学館で公開中の「文学者の書―筆に込められた思い」という企画展に出掛けた。正岡子規をはじめ、芥川龍之介など40人以上の近代文学者の直筆による書簡や短冊などが展示されていた。どの書もその作家ならではの個性豊かなもので、作家の人柄やその書簡に込められた思い、息遣いまでもが感じ取れ、内容もさることながら直筆文字の良さを改めて感じたひとときであった。

 とりわけ、友人に宛てた子規の書簡は、活字では表し得ない直筆の良さを見事に示していて興味深かった。死を迎える4カ月前のものとは思われない活力ある文字が書き列(つら)ねられ、しかも書簡終わりにひときわ大きく「筍(たけのこ)や 目黒の美人 ありやなし」の句が添えられて、子規の友人に対する見舞いへの感謝と喜びが深く読む者に伝わってきた。

 近年、学校から出される文書は全てパソコンで作成され、手書きは姿を消したようだ。……

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