(鉄筆)職人気質(かたぎ)とは……

職人気質(かたぎ)とは、「職人社会に特有の気質。自分の技術に自信を持ち、頑固だが実直であるというような性質」(広辞苑)である。このほど、米大リーグ、シアトル・マリナーズを引退表明したイチロー選手のこれまでの活躍を、職人気質を持った古きよき日本の職人の姿とだぶらせて眺めていたのは筆者だけであろうか。

以前、米国の野球教室で、1人の少年がイチロー選手にどうしたら野球がうまくなれるかを質問したことがあった。彼は、まずは自分の使っている野球道具を大切にすることだと答え、自分は野球を始めてから今まで、どんなに疲れていても今日使ったグラブには油を塗り、バットやスパイクの汚泥を落として磨くといったケアだけは忘れたことがない、と語ったことを鮮明に覚えている。

イチロー選手のこうしたかたくなまでの地道な、ある意味職人気質的な努力の繰り返しが、大リーグ10年連続200本安打、日米通算4367安打というとてつもない偉業に結び付いたのだと思う。そして、こうした努力を支えていたのは、彼が引退会見で述べた「野球を愛し続けた」からに相違ない。

子供たちへのメッセージでは、「熱中できるものが見つかれば、それに向かってエネルギーを注ぐことができる。自分の前に立ちはだかる壁にも立ち向かっていける」と述べている。「熱中できるもの」「愛し続けられもの」を見つけることこそが、これからの時代を生きる子供たちに最も必要なことであろう。そして、その環境を整えることがわれわれ大人の責務ではなかろうか。

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