(鉄筆)「人望がないんですよ」イチロー選手が……

「人望がないんですよ」イチロー選手が引退発表記者会見で発した言葉だ。「現役選手を終えたら、監督になったり、指導者になったりするが、イチロー選手は何になるのか」と質問され、「監督は絶対に無理ですよ、これは絶対が付きますよ。人望がない、本当に人望がないんですよ」と答えた。

本当にそうだろうか。「人望」を辞書で引くと「世間の多くの人がその人に寄せる尊敬・信頼、また期待の心」とある。「尊敬」は「他人の人格・行為などをとうとびうやまうこと」。「信頼」は「信じてたよること」。「期待」は「将来そのことが実現すればいいと、当てにして待ち設けること」とある(『広辞苑』第七版)。これらを読めば、イチロー選手は「人望」ありの人ということになる。

民間の新入社員に向けた「理想の上司アンケート」でも常にトップや上位にある。このように「人望」の厚い人だ。本人はなぜそう考えるのか。イチロー選手なりの野球哲学がそう言わせるのだろうか。マリナーズ時代はチームプレーよりも自分の結果を出すことがチームに貢献するという考えが強かったようだ。会見では「ヤンキースに移った後くらいに、人に喜んでもらえることが一番の喜びに変わった。ファンの方なくしては、自分のエネルギーは生まれない」とファンへの感謝の言葉を述べていた。

そんなイチロー選手に、いつか監督として采配を振るう姿を見せて欲しいと願うファンは多いことだろう。野球を愛し野球哲学を持っている人だけに、どんな野球を創るだろうか、想像するのも楽しい。

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