聖徳大学児童学科教授 渡邊恒雄
今年度の問題から要点を学ぶ
今回から、いよいよ実際の論作文をどのように書いたらよいかを考えていきます。前回お示しした、今年度行われた東京都の試験問題を改めて見てみます。
次の問題について、1000字以内で論述しなさい。ただし、840字を超えること。
【問題】
各学校では、児童に自他の生命を尊重する心を育てる教育の充実を図ることが求められています。 このことについて、あなたの考えを述べた上で、その考えに立ち、どのように学級経営に取り組んでいくか、述べなさい。 (傍線・筆者)
書くときの練習ポイントとして、字数を最大の1000字で考えます。制限時間は70分間でしたが、最初は時間を気にせず書いてみましょう。
最初に「あなたの考えを述べ」とありますので、これに答えなければいけません。今まで学んできて、「自他の生命の尊重する心を育てる教育について」どのように考えますか。このことを「論」と言っています。1000字中200~300字を使って書きましょう。
例えば、「現在の世の中は余りに自他の生命を軽々しく扱いすぎている。そのことで簡単に命を落とす悲しい事件が多発している……」といったように書き出します。
次に、「どのように学級経営に取り組んでいくか」が問われていますので、その方策を2つ書きます。これは字数制限の関係で前後しますが、300字くらいにします。
例えば「道徳教育をすべての学校生活で徹底する」「教室に潤いをもたせ、生き物を飼う」などいろいろ考えられます。その内容を詳しく書いていくことにします。この方策のことを「策」と呼んでいます。 最後に「まとめ」として「自他の生命を尊重する心を育てる教育」をしっかりとやっていきます、という決意を100字~200字で書くようにします。
例えば「以上述べてきたように、必ず自分はもちろんのこと相手の命を大切にするこころを育てるために全力を尽くす所存である」といったように強い決意を書いて締めくくるようにします。
もう一度、整理すると
論…問題に対する自分の考え 200字~300字 策1…方策の(1) 300字 策2…方策の(2) 300字 まとめ…まとめ、決意 100字~200字
字数は、若干前後すると思いますが、この「論、策1、策2、まとめ」の型を体得すると、どのような論作文にも対処できるようになります。 次回からは、いくつかの論作文の問題にあたり、実際に書いてみるようにしましょう。 論作文への対応は「回数多く書いてみる」が論作文対策の基本だと考えます。