教員の基礎「学習指導要領」を学ぶ

昨年11月に文科大臣から中教審に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」の諮問がなされ、次期学習指導要領改訂への動きが始まった。教員を目指す者として学習指導要領に関する勉強は、欠かせないものである。もとより学校における教育活動の根幹を成すものであるから、筆記試験、論文、面接、いずれの対策においても学習指導要領の内容に関しての習熟が求められる。学習指導要領の変遷全般についてと、次期学習指導要領改訂に関する学習のポイントをみてみよう。

22年に試案として示される

学習指導要領の基本的な性格は、「小中高校など学校教育における教育課程編成上の全国的な基準として告示されているものであり、学校教育法及び学校教育法施行規則に基づいて、文部科学大臣が定める」というものである。

学習指導要領は、昭和22年に試案としてはじめて出されている。その後、昭和33~35年、昭和43~45年、昭和52~53年、平成元年、平成10~11年、平成20~21年(現行)に改訂されている。

時代の進展に伴う社会の変化などに対応して、ほぼ10年ごとに改訂されている。

現行の学習指導要領のように、法的な拘束力をもつ教育課程の基準としての学習指導要領が告示されたのは、昭和33年(高校は35年)なので、学習指導要領の変遷はここから始まるといってもよいが、昭和22年に学習指導要領(試案)が出され、26年にはその全面改訂が出されている。昭和22年の学校教育法の施行に伴って新制と呼ばれた小・中学校がスタート、それに対応した教育課程の編成が求められたためだ。

33年に道徳の時間設置

昭和33年の改訂では、道徳の時間が設けられたことが大きな焦点。授業時数が学校教育法施行規則の中に明示されるようになったのも、ここからである。教育課程の領域が、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等とされた。現在の特別活動の内容のうち学校行事が別の領域として設定されていた。戦後の教育の流れが経験主義等に傾きすぎているという指摘に対し、基礎学力の充実に重点がおかれるようになった。その基礎学力向上のため、小では国語、算数、中では数学、理科の授業時間数が増加。教科以外の教育の重要性に焦点が当てられ、高校でも特別教育活動が設置された。

昭和43年の改訂では、特活と学校行事が統合され、各教科、道徳および特別活動が教育課程の領域となった。小・中学校において「授業は年間240日以上行うように計画」「各教科及び道徳の授業は、年間35週以上にわたって行うように計画」と規定、授業時数がこれまでの最低時数から標準時数へと改められ、授業時数の弾力化も図られた。小学校では「各教科及び道徳のそれぞれの授業の一単位時間は、45分をもって常例とするが、40分とすることも考慮し、学校や児童の実態に即して適切に定める」ということが総則で示された。また、学習内容の現代化ということが強調され、内容の高度化が図られた。学習内容が増加し、高度化されるとともに、授業時数も中学校を中心にして増加した。学習についていけない生徒の増加ということが、問題視されるようになる。

昭和52年の改訂では、「学校の自主性の尊重」ということで週あたり2~4時間の「ゆとりの時間」が新設された。各学校が、それぞれの学校の特色に応じた活動を創意工夫し教育活動を展開した。中学校では、教科が必修8教科、選択が7教科というように選択教科が設けられた。ゆとりと充実ということを具体的に示した。この考え方は平成10年の改訂まで維持されていく。高校においては、それまでの「各教科以外の教育活動」と呼ばれていたものが「特別活動」と改められ、小・中・高校に特別活動が設置されることになった。

10年「総合的な学習の時間」新設

平成元年の改訂では、個性重視の原則、国際化への対応、体験活動の重視といった考えから、小学校では、低学年の社会科と理科が廃止され「生活科」が新設。中学校では習熟度別指導、高校では習熟度別学級編成が導入できるようになった。国際化への対応で、英語における会話の重視とともに世界史が必修となる。中学校の「情報基礎」の新設、高校における家庭科の男女必修化も行われた。加えて「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」が特別活動の学習指導要領に明記、国旗、国歌の取り扱いが明確化された。

平成10年の改訂の大きな特色は、小学校3年生から高校まで「総合的な学習の時間」が創設されたこと。現在のように教育課程の一領域として押さえられているのではなく、小学校でいえば、総則の第三に、総合的な学習の時間と取扱いとして示された。学習内容の大幅な削減、完全学校週5日制の実施などがあり、「ゆとり教育」といわれる。

平成15年に一部改正が行われ、総則の中で「第二章以下に示す内容の取扱いのうち内容や範囲や程度等を示す事項は、すべての児童(中学校・高等学校は生徒)に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり」という文言が新たに挿入。学習指導要領に示された目標や内容等は全ての児童生徒が身に付けなければならないものとされた(上限ではなく、下限ということ)。

現行は、「生きる力」を強調

平成20年に現行の学習指導要領が告示。(1)改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領の改訂(2)「生きる力」という理念の共有(3)基礎的・基本的な知識・技能の習得(4)思考力・判断力・表現力の育成(5)確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保(6)学習意欲の向上や学習習慣の確立(7)豊かな心や健やかな体の育成のための指導充実――が改訂の基本的な考え方として示された。

「ゆとり」「詰め込み」ではなく「生きる力」を育む教育を目指し、基礎的な知識や技能の習得と思考力、判断力、表現力の育成を強調し、授業時数も増加した。「国語力の育成」「理数教育の重視」「伝統文化の継承」「外国語教育の充実」「小学校の外国語活動」「道徳教育の充実」など指導の充実を図った。

平成27年に一部改正が行われ、小・中学校の「道徳」を「特別の教科 道徳」とした

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