直前対策 10のキーワードを解説

教育時事をしっかりと
これだけは押さえよう 教員としてどう考えるか

「面接は何を聞かれるか分からないから、とても不安」という受験者も少なくない。しかし、聞かれることの多くは自分自身に関することか、教育に関することである。例えば、政治や経済などについて聞かれることはまずない、と言ってよい。したがって、教育については基礎的なことを学ぶとともに、時事をしっかりと押さえておけば、ほぼ対応できる。論作文の内容についても同様である。

教育時事については、大体3年分ぐらいはきちんと押さえておくとよいだろう。早めに整理に取りかかりたい。文部科学省の各種答申や通知などをそろえるとともに、教育に関するキーワードをどんどん選んで、内容を押さえていくことが求められる。
ここでは、直前対策として、最近の教育時事から最も重要と思われる10の事項をピックアップし、コンパクトな解説を付けた。目を通して概要を覚えるとともに、教員である自分は各事項についてどのような考えをもつかを、しっかりと考えておきたい。

【育成すべき資質・能力―3つの柱】

中教審教育課程企画特別部会の次期学習指導要領改訂のための「論点整理」では、「育成すべき資質・能力」を3つの柱を軸に構成している。
小・中・高校を通じて各教科等で育成すべき資質・能力には、(1)個別の知識や技能―何を知っているか、何ができるか(2)思考力・判断力・表現力等―知っていること・できることをどう使うか(3)学びに向かう力、人間性等―どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか――の3つである。
この柱に沿って中教審では、育成すべき資質・能力が議論されている。

【アクティブ・ラーニング、カリキュラム・マネジメント】

平成26年11月の次期学習指導要領改訂に関する文科大臣から中教審への諮問文で、アクティブ・ラーニングという言葉が頻出。
アクティブ・ラーニングとは、教員による一方向的な講義ではなく、授業を受ける側の能動的な参加を取り入れた教授・学習法の総称である。
発見学習や体験学習だけでなく、ディベートやグループ・ワーク等も含まれる。
また、カリキュラム・マネジメントとは、各学校が教育目標の具現化を目指して、内容や方法、条件整備の関係を確保しながら、カリキュラムを作っていく取り組みである。

【道徳の教科化「特別の教科 道徳」】

平成27年3月、文科省は学校教育法の施行規則を改正し、小・中学校の道徳を「特別の教科」にするとした。新たに教科となる道徳では、専門免許は設けず検定教科書を基に、原則として学級担任が指導する。
数値での評価を行わず、文章で児童生徒の評価を表す。これらの理由から、「特別の教科」と呼んでいる。
小学校は28年度に教科書の検定、29年度に採択、30年度から全面実施。中学校は29年度に検定、30年度に採択、31年度から全面実施。

【英語教育の改革】

新たな英語教育では、大学や海外、社会で、英語力を伸ばす基盤の確実な育成が求められている。
具体的には、▽小学校中学年では週1~2コマ程度を学級担任により指導▽小学校高学年では週3コマ程度を教科型として、学級担任に加え専科教員の積極的活用により指導▽中学校では、授業を英語で行うのを基本▽高校では、言語活動の高度化(発表、討論、交渉等)――を計画している。

【高大接続の改革】

大学入試は、平成31年度から変わる。
▽各大学の個別選抜の改革=大学入学希望者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜▽「高等学校基礎学力テスト」(仮称)および大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の実施=これからの時代に求められる力の育成・評価が目的▽高等学校教育の改革=主体的に学ぶ力の教授▽大学教育の改革=多様な学生が切磋琢磨し成長する場の創成が目的――の4つの改革が挙げられている。

【障害者差別解消法】

全26条から成っており、(1)障害を理由に差別的取り扱いや権利侵害をしてはいけない(2)社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をする(3)国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広めるための取り組みを行わなければならない――と定めている。
憲法や人権条約で保障されている権利を障害者にも同じように保障するための法律。
障害のあるすべての人が対象。
平成25年6月に成立・公布され今年4月から施行されている。

【18歳選挙権】

若い人に政治に関心をもってもらいたいとの理由から、選挙年齢が「18歳以上」に引き下げられた。新たに有権者が約240万人加わり、これは全有権者数の約2%にあたる。18歳以上の未成年者であっても、買収などの重大な選挙違反があった場合、少年法の特例措置として成人と同様の処罰を受ける。
昨年6月、公職選挙法等を一部改正する法律が成立・公布され今年6月に施行された。今夏の参院選から適用される。

【子どもの貧困・教育格差】

厚労省の統計によると、日本の子どもの貧困率は16.3%で、6人に1人が「貧困」となっている。また、ひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%で、2人に1人は「貧困」である。
教育にお金がかかる日本では保護者が裕福だと子どもの学力が高く、保護者の収入が低いと子どもの学力が低いとの結果が出ている。貧困問題解決に向け、昨年末の中教審答申では、スクールソーシャルワーカーを学校職員として法令上明確に位置付けるのを求めた。

【児童虐待】

児童虐待は、▽身体的虐待―殴る、蹴る、やけどを負わせるなど▽性的虐待―子どもへの性的行為など▽ネグレクト―家に閉じ込める、食事を与えないなど▽心理的虐待―言葉による脅し、無視、子どもの前で家族に暴力をふるうなど――の4種類に分類される。
平成26年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は8万8931件となり、11年度の1万1631人に比べて約7.6倍となっている。「児童虐待防止対策推進本部」が今年4月に設置された。

【チーム学校】

教職員が外部の人と連携し、学校教育を進めていく「チーム学校」が検討されている。
管理職(校長・副校長・教頭)の資質・能力向上や主幹教諭制度の充実、事務職員の役割発揮に加え、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の学校配置を目指す。
また、部活動の指導や引率を行う「部活動支援員」(仮称)の新設も提言されている。

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