教師力を身につける初任研 研修の概要・ポイントは

29年度の教採試験もほぼ合格発表がなされ、合格者は念願をかなえホッとしていることだろう。晴れて教壇に立つ姿を想像して、喜びをかみしめているかもしれない。だが、教員になれば、厳しい現実に立ち向かわなくてはならなくなる。

その教員としての力をはぐくむために初任者研修がある。この初任研自体厳しいものであることも確かであり、どのようなことが行われるのか、自分は対応していけるのか、初任者の不安材料でもある。合格が決まった時期をとらえ、初任研の概要、ポイント、先輩の声などを紹介しよう。

着任後、5月になると初任者研修も本格的な内容になってくる。新任の教員は初任研にしっかり取り組み、教員として必要な実践的指導力と使命感を一時も早く養わなければならない。

○子供たちとの出会いから実践的に学ぶ

「公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等(政令で指定する者を除く。)に対して、その採用の日から一年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない。」

初任研は、教育公務員特例法第23条に、このように規定されている。その目的は法律に明記されているように、「実践的な研修」であり、それを通して教員として必要な実践的な指導力を身に付けることである。

大学の教員養成だけでは学ぶことのできない、実践的なものだ。学校で子供たちと出会い、ともに生活をし、教科等の指導をし、さまざまな教育活動に子供と一緒に取り組んでいくのである。現場で実際の指導に当たりながら、教員としての基礎的な素養、学習指導や生徒指導における具体的な指導の方法や内容を学んでいくことが研修のポイントである。

子供たちと毎日かかわる中で、どのような指導をしたら子供たちを理解し、伸ばしていくことができるか、具体的に身に着けていくのである。

○校内・校外で内容を深める

初任研には、大きく分けて2つの研修がある。校内と校外の研修である。

・校内研修=基本的には、勤務する学校の中で、所属の先輩・同僚教員から実地に学ぶ研修。日々の教育活動を展開しながら学ぶということ。初任研の中で時間的にも、内容的にも大きな役割を担っている。教員同士の切磋琢磨という面も重要である。

・校外研修=同じ地域に着任した初任者とともに受講する教委が主催するセンター等の研修である。職場体験やボランティア体験等が組み込まれているところもある。さらに、夏季休業中を中心にした宿泊を伴う研修も組み込まれている。

校外研修には、教育相談の基礎を学ぶ講義や演習が設定され教育相談の基礎的な知識や技能を学ぶ内容、教科や道徳について地域の指導者的な立場の教員の授業を参観して講義を受ける内容などがある。地元企業における職場体験、福祉施設等における介護体験などもが行われることもある。

○同期の大切な仲間として

この校外研修を受講する初任者は、同時期に同じ地域に着任した教員である。同期の教員として、教員人生において長く付き合う可能性が高い。初任研で知り合い、悩みを語り合ったり、意見交換をしたりすることは、意義の高いことである。これからの教員にとって、人間関係はもっとも重要な要素である。人間関係を築ける、大切にできる教員こそ、子供、保護者、同僚教員、地域のかかわりにおいても、適切な関係を築いていける。

一方、校内研修は、実践的な指導力の育成ということが中心。具体的な場面をとらえての研修ということになる。初任者による研究授業を設定し、その授業後、研究協議をしながら指導を受けることなどが行われる。具体的な生徒指導、学校行事などの場面での対応を補助的な役割の立場から学んでいくこともある。

教員として身に付けておきたい技能、学習指導や生徒指導についても実践的に学んでいく。教育者としての基礎的な知識、例えばさまざまな教育活動の法的な根拠を具体的に理解するということもある。また学力の向上、いじめの解消など今日的課題についても実地的に理解していく。日々の教育活動の中で、同僚・先輩教員から学ぶことが校内研修といえるだろう。

○レポートはその日のうちに

初任研で最もたいへんなことの一つとしてよくあげられるのが、レポートである。とにかくレポートの量が多くてたいへんだった、というのが、多くの感想だ。夏季休業中には、初任者を対象としたさまざまな研修が行われ、これに伴い、レポートや記録の量も増えてくる。

レポートは、研修の内容や経緯を記してまとめるものである。作成したら、管理職や指導教員の確認を受け、その後に的確な指導を受けるのに役立つ。

レポートは、「先輩のレポート見せてもらうこと」が、たいへん参考になる。ポイントは、(1)先輩のレポートを見せてもらう(2)ためないで、すぐに書く(3)パターンを決めて書く——の3点。

○初任研は大切な財産に

最後に、先輩方の初任研の感想を示しておく。

▽研究授業が役に立った。準備がとてもたいへんだったが、結局1年目に、校内研究も含め計4回の研究授業を行った。多くの先輩、同僚に授業を見てもらい、意見を聞くことがとても勉強になった。教材研究をしっかりすれば、子供が集中してくれる授業ができる、ということがわかった(東京都小学校教員)。

▽校外の研修では、グループ協議が勉強になった。ある課題についてグループで話し合い、結果を発表する。多様な意見を聞くことで自分の考えを改めて見つめ直すことができたか(千葉県小学校教員)。

▽初任研でたいへんだったのは、毎回課される研修後のレポートや毎日の研修記録。後回しにするとたまってしまうので、絶対にその日のうちに書き上げるようにした(東京都中学校教員)。

▽初任研で多くの同期の仲間と知り合えたことは、大切な財産となった。自分の課題を初任者同士で話し合うことで、勇気づけられた。ここから対応策を見つけやすくもなった(神奈川小学校)。

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