いじめ、不登校への対応 問題行動をどう捉えるか

面接、論作文では具体的に

文科省の平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」が、さきごろ公表された。いじめ、不登校などの実態を調査したもの。いじめはいうまでもなく、学校教育現場において最も喫緊の課題である。いじめによる事案の報道も多く、社会全体の関心を呼んでいる。当然、これらの問題行動は、教員採用試験において面接や論作文など取り上げられる場合が多い。その動向、概要を学び、問題行動に対する自分自身の考えをしっかりとまとめておきたい。

○調査から推移を押さえる

文科省は、「教育現場における生徒指導上の取り組みのより一層の充実に資する」「児童生徒の問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応につなげていく」ことをねらいに毎年、「児童生徒の問題行動等の生徒指導上の諸問題に関する調査」を実施している。

結果が公表されたら、必ず目を通し、主要な数値の推移などは記憶しておきたい。論作文などでは、具体的な数値が入っていると「勉強している」と考えられる。

主な結果を示す。

全国のいじめ認知件数は22万4540件、前年度比368件の増加で、過去最高。1千人当たりの認知件数は16.4件、前年度の13.7件よりも増えた。学校種別では、小学校15万1190件、中学校5万9422件、高校1万2654件、特別支援学校1274件。いじめが原因の自殺や傷害などを負った重大事態の件数は、313件。小・中・高校で自殺した児童生徒は214人(前年度232人)。いじめを苦にしたのは9人。
不登校は小・中学校で12万6009人(前年度12万2897人)。このうち90日以上欠席した児童生徒は57.4%。要因としては、本人が「不安」30.6%、「無気力」30.2%が最多だった。

○いじめのポイントは2点

社会的に大きな関心事であるいじめについては、近年、大きなポイントが2点ある。

1点は、調査で平成18年度にいじめの定義を見直したことである。

新しい定義は「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」というもの。さらに、起こった場所は学校の内外を問わず、「個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行う」とされ、発生件数ではなく認知件数に改められた。これにより18年度を境に大幅に数値が上がった。いじめられた児童生徒の立場に立った見直しである。

もう1点は、いじめ防止対策推進法の施行である。25年2月、教育再生実行会議が「社会総がかりでいじめに対峙していくための法律」の制定を提唱。これを受け、超党派による法案が提出され、同年6月に同法が成立、9月に施行された。

○防止対策推進法に依る

主な留意点は、同法が規定する学校の具体的責務である、「学校いじめ防止基本方針」の策定(第13条)、いじめの防止(第15条)、早期発見のための措置(第16条、教職員対象のいじめの防止等のための対策に関する資質向上の措置(第18条2項)、インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進(第19条)、いじめの防止等の対策のための組織設置(第22条)、いじめに対する措置(第23条)、いじめを行っている児童等への懲戒(第25条)、重大事態への対処(第28条)などであり、その趣旨を頭に入れておこう。

特にいじめの定義については注目したい。

同法では、第2条で「『いじめ』とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」とされている。

18年度の見直しで「心理的、物理的な攻撃」であったものが、「心理的又は物理的な影響を与える行為」とされた。また、「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じている」と被害児童の主観が強調されたのである。

同法にしたがって、各自治体、学校でいじめ対策が展開されるようになった。

問題行動に関する文科省の通知、まとめなどの主なものを末尾にまとめた。これらは全て文科省のサイトで閲覧できる。

実際に面接や論作文で、いじめについて問われたときは、「自分が学級担任などであった場合、どのように考え、どのような対応をするか」を示すことがポイントであるととらえたい。

問題行動に関する推移、動向を理解した上で、自分の考えをまとめ、どう実践していくかをしっかりと示したい。


目を通しておきたい生徒指導上諸問題の文科省関連資料

平成18年▽「いじめ問題への取組の徹底について(通知)」10月▽「いじめ問題などに対する喫緊の提案について(子どもを守り育てるための体制づくりのための有識者会議)」12月

19年▽「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」▽「いじめ問題に関する取組事例集」2月▽「いじめを早期に発見し、適切に対応できる体制づくり—ぬくもりのある学校・地域社会をめざして(子ども守り育てるための体制づくりのための有識者会議まとめ・第1次)」2月▽「いじめ問題に対する徹底した対応に向けて—子どもたちがのびのび学べるぬくもりのある学校にしよう!(子ども守り育てるための体制づくりのための有識者会議)」6月▽「『ネット上のいじめ問題』に対する喫緊の提案について—お父さん! お母さん! お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか(子ども守り育てるための体制づくりのための有識者会議)」12月

20年▽「『ネット上のいじめ』から子どもたちを守るために-見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を(子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議まとめ・第2次)」6月▽「児童生徒が利用する携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底について(通知)」7月▽「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)」11月

21年▽「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)」1月▽「『子どもの携帯電話等の利用に関する調査』の結果(速報)について」2月▽「教師が知っておきたい子どもの自殺予防マニュアル」3月

22年▽「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」3月▽「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ」3月▽「『平成21年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』結果について」9月▽「いじめの実態把握及びいじめの問題への取組の徹底について(通知)」11月

23年▽「いじめの問題への取組状況に関する緊急調査」結果について(通知)」1月▽「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ」3月▽「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の在り方について(通知)」6月▽「児童生徒の自殺等に関する実態調査について(通知)」6月

24年▽「すべての学校・教育委員会関係者の皆様へ[文部科学大臣談話]」7月▽「夏季休業が終了した時期における児童生徒への適切な対応について(依頼)」9月▽「犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する警察への相談・通報について(通知)」11月▽「『いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査』を踏まえた取組の徹底について(通知)」11月

25年▽「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について(通知)」1月▽「いじめの問題等への対応について(第一次提言概要)」教育再生実行会議・2月▽「いじめ防止対策推進法」6月法律第71号▽「いじめ防止対策推進法の公布について(通知)」6月▽いじめ防止基本方針の策定について(通知)」10月

26年▽「平成26年度緊急スクールカウンセラー等派遣事業委託要網」6月▽「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」7月

27年▽「連続して欠席し連絡が取れない児童生徒や学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の安全の確保に向けた取組について(通知)」3月▽「『学校と警察の連携に係る緊急調査』結果について」3月

27年▽「いじめ防止対策推進法に基づく組織的な対応及び児童生徒の自殺予防について(通知)」8月

28年▽「生徒指導、家庭教育支援及び児童健全育成に係る取組の相互連携の推進について(依頼)」5月

特集