【連載】どう答える? 場面指導 23 道徳の授業の本質を知る

元全国小学校道徳教育研究会会長 馬場喜久雄

 

〈質問〉道徳の公開授業の後に保護者から「どうして先生は、これが正しいのだとしっかり価値を教えてくれないのですか」と言われました。あなたならどう答えますか。

■ □ ■

A1—1 道徳の授業は、「私たちの価値観を押し付けてはいけないと思います」と答えます。

Q1—1 価値の押し付けではなく、正しいことは正しいと教えるのがいいのではと保護者の方は言っているのではないですか。

A1—2 しかし、親切にしなさいとか、礼儀正しくしなさいとかという授業ではいけないと思います。 

▽気を付けようポイント

道徳の授業の特質をつかんでおき、それを保護者にどう伝えるのかが大切です。

◇ ◇ ◇

Q2—1 道徳の授業で、「規則尊重」のねらいで授業をした後すぐに、廊下を走っている子がいました。道徳の時間にきちんと教えていなかったのではないですか。

A2—2 はい、道徳の授業の後に、しっかりできるように授業を工夫したいと思います。

Q2—2 道徳の授業は、そういうものでしょうか。

▽気を付けようポイント

まずは、質問者の手に引っ掛からないことです。道徳の授業とは、即実践をねらっているのではありません。道徳の授業についてきちんと知っていれば、引っ掛かって間違った回答をせず済みます。

Q3—1 別の保護者からは「なぜ、道徳なんかやるのですか。教科になるそうですが、戦前の修身の復活ではないですか」と言われました。あなたはどう答えますか。

A3—1 修身とは違います。子供一人ひとりがしっかり判断して、よいことができるようにしています。「これが正しいからこうしなさいというような指導はしません」と答えます。

Q3—2 そうですね。そのためにどのような授業をするのがよいのでしょうか。

▽気を付けようポイント

「道徳の時間」が特設されてから、50年以上が過ぎました。なのに、まだ誤解をしている人が少なくありません。どのような授業をすれば納得してもらえるのか、大事なところです。

Q4—1 平成30年度から道徳が「特別の教科 道徳」になりますが、何か心配なことがありますか。
A4—1 評価をしなければいけません。どのようにしたらよいのかが心配です。
Q4—2 道徳の授業は、今まで評価をしていなかったのでしょうか。指導と評価は、切り離すことはできませんよ。評価のない授業はありません。

▽気を付けようポイント

評価については、道徳の評価が新しく入ると誤解している人がいるようです。新しくなるのは、指導要録に道徳科の評価が入ることです。

◇ ◇ ◇

回答のポイント

(1)一番大切なのは、道徳の授業の本質を知っておくことです。新しい解説書の中の、道徳科の目標と、道徳の授業の特質についてというところに書いてあります。

(2)道徳については、前述のように、保護者の考えが全く異なる場合があります。どちらにも納得がいくように、道徳の本質を人に伝えられるようにしておくことが大切です。

(3)平成30年度に向けた、しっかりとした準備が大事です。

▽指導の中で「考える場」や「話し合う場」を作る▽評価について、学校の教職員の共通理解を図る▽授業公開をして地域の方に理解してもらい、教職員同士で見やって互いの授業を磨き合う▽道徳科になることで変わらなければならないのは何か、変わってはならないのは何かをしっかりと押さえておく。

(4)いじめのない学校を目指す中に、道徳の充実が含まれています。道徳教育で、道徳の授業の中でどのように指導していくのがよいのかを考えておくのも大事です。(いじめ問題をそのまま道徳の時間に取り上げて考えていくのは、道徳の時間の特質に合わないことなど)

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