神谷正孝の5分でわかる教育時事2017-2018(3)新学習指導要領の要点 その2

eye-catch_1024-768_kamiya2017kei塾主任講師 神谷正孝

具体的なポイントをつかむ

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷正孝です。この連載では独学で対策が難しいとされる教育時事について、各回テーマ別に解説を行っています。

第3回目の今回も、新学習指導要領について取り上げます。他の教育時事ともつながる内容なので、バックナンバーと併せて内容を確認しておきましょう。

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神谷正孝_第3回_図表■改善すべき事項をまとめ、枠組みを考える6つの視点

前回は、改訂の方向性について取り上げましたが、今回はより具体的にポイントについて解説したいと思います。

学習指導要領改訂の元になった中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」では、教育課程の「改善すべき事項をまとめ、枠組みを考える6つの視点」として以下の内容が示されました。

(1)何ができるようになるか(2)何を学ぶか(3)どのように学ぶか(4)子供一人一人の発達をどのように支援するか(5)何が身に付いたか(6)実施するために何が必要か――。

このうち、(1)(3)は特に重要です。(1)については、新しい時代に必要となる資質・能力を具体化・明確化し、学習評価の充実につなげることが示されています。(2)については、新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直しが行われています。(3)については「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニングの視点からの学習過程の改善)」ということが示されました。

■育成すべき資質・能力の3つの柱

前回軽く触れた「育成すべき資質・能力の3つの柱」については、先に挙げた「6つの視点」のうち、(1)で示した「何ができるようになるか」を詳解したものであると捉えられます。ここでは、「何のために学ぶのか」という学習の意義を踏まえ、授業の工夫や教材の改善を引き出していけるようにするため、学習指導要領において全ての教科の記載に当たり、(1)生きて働く知識・技能の習得(2)どの状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成(3)学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等の涵養――。この3つの柱で再構成しています。

(1)は、「何を理解しているか」「何ができるか」を明確化したものであり、先に挙げたような「新しい時代に必要となる資質・能力」を具体的に記述したものです。これまでも各教科において示されてきた、「内容」の各事項と同様に考えることができます。

(2)は、「理解していること・できることをどう使うか」を明確化したもので、具体的な学習の方法や、独立した知識同士をつなげて得られる気付きや新たな理解を示すものとして捉えてよいでしょう。

(3)は、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」を明確化したものです(一番捉えどころがない)。例示された内容を見ると、従来の「関心・意欲・態度」につながる目標や、各教科・科目の「価値的な目標」につながるものと理解できます。

上記の(1)~(3)の視点から、指導要領における各教科の内容の表記が整理されていることに注意しておきましょう。

前回も指摘した通り、総則や特別活動、総合的な学習の時間は来年度から実施されます。来夏の試験では総則は新指導要領を中心に対策を進めましょう。

【例題】次の文章は平成29年告示小中学校学習指導要領の改訂の基本的方向について述べたものである。空欄に当てはまる語句を選びなさい。

●教育基本法、学校教育法などを踏まえ、これまでの我が国の学校教育の実践や蓄積を活かし、子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成。その際、子供たちに求められる資質・能力とは何かを( 1 )と共有し、連携する「( 1 )に開かれた教育課程」を重視。
●知識及び技能の習得と思考力、( 2 )、表現力等の育成のバランスを重視する現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の( 3 )の質をさらに高め、確かな学力を育成。
●先行する特別教科化など( 4 )の充実や( 5 )の重視、体育・健康に関する指導の充実により、豊かな心や健やかな体を育成。

語群
地域  道徳教育  特別活動  体験活動  読解力  理解  判断力
連関  奉仕体験活動  社会

解答
1:社会 2:判断力 3:理解 4:道徳教育 5:体験活動
解説 文部科学省ウェブサイト「改訂のポイント」より作成。要点をしっかり押さえよう。

例題2 次の文章は平成29年告示小中学校学習指導要領の一部である。以下の問いに答えなさい。

(1)空欄に当てはまる語句を書きなさい。
(2)下線部「持続可能な社会の創り手」とあるが、「持続可能な社会の創り手」を育成する教育のことを何というか。アルファベット3字で答えなさい。

これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の児童(生徒)が,自分のよさや( 1 )を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と( 2 )しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を( 3 )的かつ( 4 )的に組み立てた教育課程である。
解答
(1)1:可能性 2:協働 3:組織 4:計画
(2)ESD
解説 新学習指導要領の前文より抜粋。(1)2「協働」は同音異字に注意。また、3・4のように「●●的」の部分はよく空欄補充で聞かれるので、並列的に示されているときは順序にも注意しよう。(2)持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)