授業はどのように行うか 教材研究など準備が大切

時間と余裕をもって取り組みたい

授業をするということはどういうことであろうか――。これまで、教師の仕事を知るために、教師の平均的な一日、学級担任の仕事を取り上げてきた。今回は教師の本分といわれる授業について。授業はやはり教師の仕事の柱である。授業を構想したり、実際に進めたりする際の取り組みに必要な基礎・基本の仕事を紹介しよう。

学習指導案を作成する

まずは、学習指導案の作成。通常、その手順は、次のようなものとなる。

(1)題材を決める=年間指導計画や教科書、学習指導要領を参考にして題材を決める。学年の横のつながりや学年間の縦のつながりも考える。

(2)児童生徒の実態をつかむ=既習内容、前提となる知識の把握に努める。場合によっては、調査などを行う。

(3)教材研究を進める=素材の特性や系統性を明らかにする。

(4)目標を決める=学習指導要領を基に、児童生徒の実態を考慮して決める。

(4)指導の流れを考える=どのような内容を、どのような流れで指導するか、展開を考える。児童生徒の反応を予想し、複数の流れを考えておく。思考、活動、話し合いなどの時間を十分に取る。

(5)発問や資料などを準備する=いつ、どこで、どのような発問をするか、どのような資料を提示するか、児童生徒の反応を予測して対応を考える。一斉、小集団など学習形態も考慮する。

教員採用試験においても、模擬授業の事前作業として学習指導案を作成することがあるので、しっかりと学んでおく。

表
欠かせない教材研究

児童生徒に「わかる」「できる」を実感させるためには、何よりまず教員自身がその授業において、「何を学ばせるのか」「どのように学ばせるのか」「どこで評価するのか」などをしっかりと把握しておかねばならない。そのために必要なのは、十分な教材研究である。

10の内容を教えたいなら、100の教材研究に時間を惜しまず取り組む覚悟が大切だといわれる。「教員は体力勝負」ということがよくいわれるが、教員になって教材研究のために慢性的な睡眠不足になるという状況を体験すると、それが本当であることを知るだろう。

教員の多忙さが問題視されるようになって久しい。確かに現代の教員は本当に忙しい。それでも教材研究は授業の生命線だ。怠らずに取り組まなくてはならないものである。児童生徒のためでもあるが、教員としての自分自身のためでもあり、教員のいわば使命、責任でもある。

教材研究の主な流れは上の通り。

実は、教師用指導書があれば、最低限、授業を成立させることは可能だ。それを踏まえた上で自身がどのように学び、どのように工夫して展開するかということが、教員としての力量や専門性を発揮すべき点だといえる。

繰り返しになるが、教員は忙しい。それでも教材研究は事前に、それも前日などではなく、時間と余裕をもって取り組みたい。

板書は授業の流れが分かるように

電子黒板やプロジェクターなどが普及してきているが、それでも授業における黒板および板書の重要性は高い。

板書の役目は、児童生徒に本時の学習内容と目当てを印象付けることだ。1時間の授業のねらいを児童生徒と共に確認し、そのねらいが学級の全員の力でどのように成就されたかを視覚的に理解できるようにする。上手な板書は授業の質を上げるので、教材研究に併せて板書計画を立てることが求められる。

板書の仕方は、1時間の児童生徒の思考の流れを追っていくものか、ある一つの結論に向かって収束していくものか、などにより異なる。一般的に時系列なら黒板に向かって右から書き始め左に進んでいく(教科により異なる)。授業の展開に沿って児童生徒の発言を構造化し、フィードバックしていく。

授業内容によっても異なるが、「授業が終わって黒板を見たら、学習がどのような流れで進んできたのかが分かる」という板書が望ましいとされている。

板書の主なポイントは次の通り。

(1)「早く、ていねいに、正しく」書くようにする。縦書きでも、横書きでもまっすぐそろえて書く。

(2)教師の板書の仕方を児童生徒はまねる。よく見ているので、字を整えて書く。

(3)字の大きさをあらかじめ確認する。教室の一番後ろから見えるかどうか確かめる。

(4)記号や囲みなどを使って構造的に見やすい板書になるようにする

(5)色チョークを有効に使う(例:まとめは赤で囲む)。

(6)写真や絵などを合わせて効果的に使う。字とのバランスを考える。

(7)板書とノートの約束事(何をノートに写すか)を決めておく。

(8)児童生徒にも板書させる。小学校低学年の場合、書かせる高さにも配慮する。

(9)教科書やノートを見ながら板書しない。

授業の成否を決める発問

授業の成否は、教師の発問次第といってもよい。発問には、工夫が必要である。教師側からの一方的な授業になるのを避けなければならないからだ。

発問に対する児童生徒の回答や意見は、教師が期待した内容で返ってくるばかりではない。どちらかというと、期待通りの内容は少ないかもしれない。これはすでに教育実習でも経験済みだろう。

発問が下手なばかりに、予期せぬ反応が返ってきて、どう対処したらよいか分からず立ち往生、という状況を教師になったら誰でも少なからず経験すると思われる。

発問に対して児童生徒がどのように反応するかを予測することは、ベテランの教師でもかなり難しいといわれる。重要なのは、発問は児童生徒の発言をどのように取り上げていくか、という対処法と深い関係があるということだ。
発問の難しさの一つに、学年が上がるにつれ発言を控え始める、という傾向になることだ。それまで積極的に挙手して発言していたのが、周囲の目を気にしてか発言しなくなる。小学校の場合、低学年から中学年の発言は活発だ。高学年から発言を控え始める傾向が現れ、中学生になれば顕著になる。

発達段階といってしまえばそれまでだが、児童生徒の考えを把握するためにも、できるだけ発言させたい。発問だけでなく指名の仕方も考えなくてはならない。

授業展開に合わせて、「全員一斉に発問する指名」「機械的に席順、名簿順などにより1人ずつ発問する指名」「個々の児童生徒の能力に応じた発問を1人ずつに与える指名」などをうまく組み合わせる。

発問の種類としては、「数や場所を問う」「提案をさせる」「選ばせる」「一見矛盾に思われることを問う」などがあるが、まずは教材研究をしっかりと行うことが求められる。

そして、「的確で効果的な発問を工夫する」というのが基本だ。