神谷正孝の5分でわかる教育時事2017-2018(4)生徒指導上の諸問題(H28データ)その1 データの読み方を覚える

eye-catch_1024-768_kamiya2017kei塾主任講師 神谷正孝

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷正孝です。この連載では独学で対策が難しいとされる教育時事について、各回テーマ別に解説を行っています。

第4回目の今回は、文部科学省の「問題行動調査」を取り上げます。10月下旬に公表された速報値(※1)を基に、試験で押さえるべき内容を確認します。その際に、以下の点に注意する必要があります。

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(1)全国データは、学校種などの「ヨコの比較」と経年比較(「タテの比較」)の両方の視点から傾向を把握する。

(2)ローカルデータは、受験先の各都道府県の状況を押さえておく。その際に、認知件数や発生件数は絶対数ではなく、千人当たりの数を周辺の都道府県と比較する視点を持つとよい。

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□いじめ

調査結果によると、小・中・高校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は32万3808件(前年度22万5132件)と前年度より9万8676件増加しています。調査は都道府県別に集計していますが、人口の多寡を考慮した児童生徒1千人当たりの認知件数も23.9件(前年度16.5件)と大きく増加しています(※2)。

学校種別では、小学校で前年を大きく上回る約23万8千件が認知されており、以下中学校(約7万1千件)、高校(約1万3千件)と続きます。いじめの現在の状況で「解消しているもの」の件数の割合は90.6%と前年度の88.7%を上回りました。ここでは大まかな数字と学校種別の動向、学校が適切に対応することにより起こったいじめの9割は解決できることなどを押さえておくようにしましょう。

□不登校

小・中学校における不登校児童生徒数は13万4398人(前年度12万5991人)と増加し、不登校児童生徒の割合も1.4%(前年度1.3%)増えています。ここ数年は小学校の増加率が中学校より高くなっており、今年度の調査でも、小学校の増加率が13%(実人数では約3600人ほど増加)となっています。絶対数では中学校の方が3倍も多いのですが、不登校の予後を示す「指導の結果、登校できるようになった児童生徒」の割合は3割を切っており、不登校状態が続く傾向にあるため、小学校段階から不登校にならないような学級経営等が求められます。

不登校児童生徒数は、学年が上がるにつれて増加、中学校で大きく増加し、中学校3年生で最大になるという傾向はずっと変わりません。中2で約6割の生徒が、中3に至っては約7割の生徒が前年からの継続となっています。

なお、前年に引き続き、いわゆる「無登校」についても調査しています。不登校児童生徒に占める割合は、小学校2.8%、中学校4.0%、全体では3.7%となっています。

※1.平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(文部科学省 平成29年10月26日報道発表資料)

※2.児童生徒1千人当たりの認知件数の都道府県の差は19.4倍。集計の基準が都道府県によって異なるため、一律に同じ土俵で比較できないことに注意。

【例題】

1 「いじめ」に関する説明として、最も適切なものは、次の1~5のうちのどれか。

1.公立の小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は、平成18年に調査方法を変更して以降、増加の一途をたどっている。

2.いじめの認知件数を学年別にみると、小学校から学年が進むにつれて多くなり、中学2年生が最も多い。

3.学校がいじめをどのように知ったかについては、小学校では「保護者からの訴え」、中学校・高等学校・特別支援学校では「いじめられた児童生徒からの訴え」がそれぞれ最も多い。

4.いじめの態様のうち、パソコンや携帯電話等を使ったいじめの認知件数は増加した。

5.いじめの問題に対する対応については、いずれの校種においても、「職員会議等を通して共通理解を図った」の割合が低い傾向にある。

例題1 解答 4

【解説】 1:平成28年調査の最新動向は全体で大きく増加。2:中学1年生で最も多い。3:平成28年度の集計では、小学校は「アンケート調査など学校の取組により発見」が一番多い。4:正しい。当項目の認知件数は増加したが、いじめの認知件数全体に占める割合は減少している。5:「学校におけるいじめの問題に対する日常の取組」において、「職員会議等を通して共通理解を図った」の割合が最も高い。

例題2 「不登校」児童生徒に関する説明として、最も適切なものは、次の1~5のうちのどれか。

1.統計的にみると、不登校児童生徒数は小学校では各学級に少なくとも1人はいる計算になる。

2.不登校児童生徒数は、学年別に見ると学年が進むにつれて多くなり、小学校6年生から中学校1年生で大きく増加しており、その後、減少している。

3.不登校児童生徒のうち、約10人に1人は、指導の結果、同年度中には再登校する。

4.不登校児童生徒が適応指導教室やフリースクールに通所している場合、一定の条件を満たせば在籍校で指導要録上、出席扱いにすることが可能である。

5.学校を休んで遊びまわったり、生活態度が乱れたりして、学校生活よりも校外での遊びなどに関心を持ち、学校を欠席している場合は、不登校ではない。

例題2 解答 4

【解説】 1:小学校ではなく、中学校の実情である。2:不登校児童生徒は中学校3年生がピークである。3:「指導の結果登校できるようになった児童生徒」は約30%である。5:このケースは、社会的な要因によって不登校になっていると考えられる。


参考資料
参考資料:図表