帝京科学大学教育人間科学部教授 釼持 勉
教員採用選考では模擬授業を行わず、その代わりに単元指導計画を作成して、個人面接に充てる自治体がある。その単元指導計画の作成の留意点を紹介する。
筆者は、試験官として多くの教員採用選考に携わってきた。その際に「どうしてこの単元指導計画なのだろう」「どうしてこんなに長い単元設定を考えているのだろう」「単元設定の工夫がどうしてこれしかないのだろう」などを意識してみるようにしてきた。
■単元指導計画の書式に合わせて作成する
一定の書式があり、その中で対応する。決められた教科の中で、どう組み立てるかを問うているのである。それでも、受験者一人一人が違った発想で仕上げてくる。試験当日にどんな質問がされるかで内容理解を図ってほしい。
(1)単元設定の理由
「教育実習で実施した内容で、この教科が好きなのでこの単元を設定した」などとの返答がある。それでよいのか。少なくとも、児童生徒の実態があり、前単元での学びを振り返り本単元を設定している旨を説明するのが本来あるべき方向性である。
(2)教科の目標と提示学年での指導事項の理解
学習指導要領の教科の目標、関係する指導事項の理解が原則となる。実際に「勉強していない」「今後勉強する」と返答する受験者もいるが、この段階で「勉強していない」では学びの基本ができていないということになる。
(3)単元指導計画の時数の配慮
単元は3時間扱い、15時間扱いなどの設定ができる。ロング単元になりすぎないよう配慮が必要。各時間内での学習内容と留意事項を頭の中で整理して答えることができなくなるからである。
(4)本時の指導の創意工夫
必ず質問される項目であり、自己のビジョンを示せる場となる。書いた内容に責任を持って説明しなければならない。
単元指導計画の作成は、わずか10分程度である。事前に熟考して臨みたい。