神谷正孝の5分でわかる教育時事2017-2018(7) オリパラ教育/体育・健康に関する指導

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 「する」だけでない多角的な視点を

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷正孝です。第7回は、今まさに旬の話題「オリンピック・パラリンピック教育」と関連する「体育・健康に関する指導」について解説します。

■オリパラ教育

オリパラ教育とは、「オリンピック・パラリンピック教育」の略です。文字通りオリンピック・パラリンピックを題材にして行われる教育を指します。スポーツの価値や効果の再認識を通じ、国際的な視野を持って世界の平和に向けて活躍できる人材を育成するという基本認識の下、以下を推進していくこととされています。

(1)スポーツの意義や価値等に対する国民の理解・関心の向上

(2)障害者を含めた多くの国民の生涯を通じたスポーツへの主体的な参画の定着・拡大

(3)児童生徒をはじめとした若者に対する、これからの社会に求められる資質・能力等の育成

その上で、内容としては「オリンピック・パラリンピックそのものについての学び」の視点と、「オリンピック・パラリンピックを通じた学び」の視点の2つがあります。

前者は、オリンピック・パラリンピックに関する知識、選手の体験・エピソードなどを直接取り上げるのに対して、後者では、チャレンジや努力を尊ぶ態度、健康増進、スポーツが個人や社会にもたらす効果などスポーツの価値を取り上げたり、参加国・地域の文化・言語、共生社会、持続可能な社会、わが国や地域の伝統・課題等を取り上げるなど内容は多岐にわたっています。

オリンピック・パラリンピックを題材に、広く社会問題について学ぶという視点が含まれることに注意しておきましょう。東京オリンピック・パラリンピックに向けて、取り組みが加速していくものと思われます。

■学校における「体育・健康に関する指導」

学校における「体育・健康に関する指導」は学習指導要領総則に規定されています(第1 小学校教育の基本と教育課程の役割 2(3))。新指導要領においては、記述が拡充され、「豊かなスポーツライフの実現」や「日常的な運動習慣」について言及されています。背景には、運動する子としない子の二極化傾向や、体力低下の問題が介在しています。

「スポーツ」については、先に述べた「オリパラ教育」とも関連しますが、「する」だけでなく、多角的な視点(みる・支える・知る)で捉えることも大切です。つまり、「する」人だけの問題ではなく、全ての人に関わる問題であり、スポーツへのかかわり方が課題となります。運動習慣の形成は、「食事・睡眠・運動」という健康保持の三原則とつながる重要な課題です。生涯を通じて健康であることは、「自己実現」という視点からも重要です。

このように健康を将来の自己実現のための「資源」として捉え、意識を高め、「自分の健康を自分でコントロール」できるようにすることが健康教育では重要です。

【例題】

問題1 次に示すのは小学校学習指導要領(平成29年3月告示)の一部です。空欄に当てはまる語句を書きなさい。

学校における体育・健康に関する指導を児童の発達の段階を考慮して学校の( ア )を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かな( イ )の実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校における( ウ )の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科,家庭科及び特別活動の時間はもとより,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な学習の時間などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,( エ )において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,( オ )を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。

解答
ア:教育活動全体  イ:スポーツライフ  ウ:食育  エ:日常生活  オ:生涯
問題2 次の各文はオリンピック・パラリンピック教育の目標や内容について述べたものである。適切でないものを選びなさい。

1.歴史,競技種目,アスリートのパフォーマンスや努力のすごさ,オリンピック精神,パラリンピックの意義,用具の工夫・開発やクラス分け等のパラリンピックの特性等,オリンピック・パラリンピックに関する知識を学ぶ。
2.オリンピック・パラリンピック選手の体験・エピソード,大会を支える仕組みについて学ぶが,商業主義の弊害などオリンピック・パラリンピックの負の部分については取り扱わないようにする。
3.オリンピック・パラリンピックを契機として,スポーツが個人や社会にもたらす効果などのスポーツの価値を学ぶことも含まれる。
4.オリンピック・パラリンピックを契機に,参加国・地域の文化・言語などについて日本との違いを取り上げたりするなど,平和でより良い世界を構築する次代の若者の育成という観点も含まれる。
5.社会の課題の発見や解決に向けて他者と協働しつつ主体的に取組む態度や,多様性の尊重,公徳心の育成・向上を図ることが求められる。

解答2
解説:商業主義が引き起こす歪みと IOC 改革の取組,ド ーピングの問題点とアンチドーピングの取組等,オリンピックの負の側面についても取り上げることが示されている。
すべての選択肢の内容は,オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議「オリンピック・パラリンピック教育の推進に向けて(中間まとめ) 」(平成27年7月9日)を参照のこと。

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