模擬授業で授業力をアピール 教員としての資質を見せよう

児童生徒とのやり取りを積極的に“演技”

文部科学省がこのほど発表した、平成30年度公立学校教員採用選考試験(29年夏実施)の実施方法に関する調査によると、採用試験で模擬授業を実施している自治体は53県市、場面指導を実施しているのは40県市だった。ここ数年は共にほぼ変わらない数値で推移しており、受験者の実践力を見る、という傾向が続いている。当紙面でも模擬授業のポイントの詳細を紹介する連載を行っているが、ここでは全体像をまとめてみてみよう。

〇実施する自治体も多く採用試験では定番

自治体や校種によって異なるが、教員は新規採用1年目の当初から教壇に立たなくてはならない。そこで、採用試験でも教員としての適性および即戦力度を見るために模擬授業が多く実施されている。臨採経験者はいいが、授業経験の少ない学生の受験者にとって、結構厄介なものだろう。採点官の印象に残る模擬授業を行うためにはどうしたらよいか、紹介していく。

実際に教壇に立ったと想定して授業のシュミレーションを行うのが、模擬授業である。平成30年度教員採用試験(29年度実施)において、模擬授業を実施した自治体は、1次試験で3県、2次試験では50県市、計53県市であった。

○1人5~20分で授業を演じる

まずは、基本的な実施方法を見てみよう。

時間は、一1人当たり5~20分程度。教科指導だけではなく、生活指導関係のテーマが与えられることもある。これにのっとった指導を進める。

方法は、自治体によってさまざまであるが、会場には教壇と黒板が用意され、児童生徒が目の前にいると想定して行う方式が一般的。会場には採点官だけの場合、他の受験生が児童生徒役として3~5人程度座り、交代で授業を行う場合とがある。

○課題の提示は事前、直前の2通り

授業の課題は、あらかじめ通知される場合と、直前に示される場合とがある。直前に示される場合は、控室などで授業を構想する時間がある程度与えられるが、大急ぎでどのような指導を行うのかを考えなくてはならない。従前からの練習が望まれる。

事前に教えてくれる場合は、1次試験の合格者に1~2週間前に通知される。学習指導案を作成して、提出させ、それに基づいて授業を実施させる。事前に学習指導案を書く際は、なるべく早めに書き上げて、誰かに見てもらうこと。
大学の教官、教育実習で行った学校の校長や指導教官、臨時採用などで現場にいる場合は、先輩の教員、このような方々にぜひ見てもらい、率直な意見を聞き、書き直してから提出したい。

採点官は、その指導案が誰かの指導を受けて作成されたかどうか大体分かるが、誰かの指導を受けた、ということはマイナスの評価にはならないという。逆にプラスの評価になる場合もある。大学や教育実習で指導を受けた教官や教員と、相談できる人間関係が築けている、そういう人間関係を作れる人物が求められるからだ。

ただ、実際は、指導案の内容はそれほど重視されないともいう。誤字脱字がないか、形式がきちんと整っているかがチェックされる。書類作成がきちんとできるか、教員としての事務能力もあるかが試されるのだ。家族や友人でもいいから見てもらい、誤字脱字がないか、求められる形式通りに作成されているか、などをチェックしてもらうとよい。

○児童生徒が目の前にいるつもりで

授業の流れに沿って、解説していく。

受験者は受験番号、氏名を述べ、まずは、あいさつからスタート。大きな声で「おはようございます」などとあいさつする。そして、与えられた課題に沿って授業を進める。

自分が授業をきちんと行える資質をもっていることをアピールしたい。採点官は「この人物に、子供たちを任せてもよいか。授業をさせてもよいか」という点を見る。目の前に児童生徒が座っていると想定して、授業の〝演技〟をする。

授業の主体は、もちろん児童生徒である。その授業の目標を明確化して、児童生徒の活動をどう引き出していくのか、発問、板書などの在り方が問われる。

採点官から好印象を持たれる、主なポイントは次の通り。

・明るく、元気に、大きな声で話す。

・板書は必ず行う。課題があらかじめ示されている場合は、事前に板書計画を立てておく。

・白だけではなく、会場に用意されているチョークはできるだけ全色使う。

・図や絵をさっと描いてみせる。

・学年配当漢字を確認しておく。その学年では習っていない漢字は使わない。

・ネガティブな言葉は、絶対に使わない。

・児童生徒が目の前にいるつもりで、声を掛け、発問し、指名し、答えを聞き、それに反応し、褒めたりする。

・課題にきちんと応える。そのために時間配分をよく考え、前置きが長くなったりして、課題に触れる時間がなくならないよう注意したい。

・児童生徒役で他の受験者や採点官がいる場合は、指名しよう。自分が児童生徒役で指名されたら、役になりきってはきはきと答える。

○要点をまとめて手短に展開

与えられた時間は、1人当たり5~20分程度と短い。要点を押さえて手短にテンポよく展開することが印象をよくする。

児童生徒とのやり取りを積極的に行うことも重要。教育実習で教えた児童生徒、臨採教員なら今教えている児童生徒が目の前にいる、と想定する。

発問の後は、声をどんどん掛ける。「Aさんはどう考えたかな」「Bさん、答えを言ってくれますか」などとやさしく語りかける。間を取って、「へえ~、いい答えだね」「さすがだ。よくできました」などと対応しよう。

採点官は、児童生徒の話をよく聞くことができるか、引きつけることができる技術を持っているか、などを評価のポイントにしている。それを踏まえて授業の演技をしよう。

○受験仲間とトレーニングしよう

採点官が児童生徒として質問してくることがある。想定外の質問や指示であっても慌てない。現場の実際は、想定外ばかり。ここは腕の見せ所と捉え、深呼吸をして、冷静に対処したい。

時間がくると、採点官から「終わってください」と声が掛かるので、指導の途中でも速やかに終了する。採点官が何かアドバイスしてくれることもあるので、指示があるまで教壇で待つ。

引き続き面接で授業の要点を質問されることも多い。そのつもりで自らの模擬授業を反すう、反省しておくことが必要である。

授業を見せるわけなので、授業経験の豊富な臨採教員が圧倒的に有利とも思われる。学生受験者は、フレッシュさ、熱意、元気のよさをアピールしたい。まずは、教育実習だけではなく、学生ボランティアなどで積極的に現場を知る機会を数多く体験したい。

それらの体験を基に、受験仲間と一緒に日々イメージトレーニングに取り組もう。

【付録】模擬授業後の面接でよく出される10の質問

(1)なぜ、この単元を選んだのですか。
(2)この単元のねらいは何ですか。
(3)児童生徒に分かりやすく教えるための工夫はどのようなものがありますか。
(4)児童生徒に狙いを理解させるためにどのような工夫をしましたか。
(5)工夫した結果、児童生徒はどのような反応を示しましたか。
(6)この単元で児童生徒がつまずきやすいところはどこですか。
(7)理解できない児童生徒がいたら、どのように指導しますか。
(8)興味・関心を示さない児童生徒がいたら、どのように指導しますか。
(9)安全面で配慮するところはどこですか。
(10)本日の授業の反省点はどこですか。

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