現場体験を積極的に行おう 合否を左右するポイントにも

学生ボランティア制度の活用で

 

大阪市教委ではこのほど、2020年度の教採試験からボランティア経験を加点する制度を試行すると発表した。学習支援を行う場への学生の参加を促し、実践的な経験を積んだ者を採用することが狙いだという。教員志望者ならすでに承知のことと思うが、昨今の教員採用試験では、面接、論作文が重視されている。特に、学校における具体的な指導場面を設定し、それへの対応を答えさせたり、記述させたりする形式が多くなり、学校現場をより知っている受験者が有利になる状況が生まれている。学校現場を知る方策の一つとして、学校ボランティアに焦点を当てる。

教育実習はほぼ3週間程度――。これだけの学校現場体験だけでは、全く足りないといってよい。学校現場には多様な課題が山積している。その実態をより知っている人間でないと、これからの教員採用試験を突破するのは難しくなるかもしれない。

現在、大都市を中心とした教員の大量採用時代は、ピークを超えた感があるが、それでも採用数は少なくない。教員への社会的な風向きは、大変厳しい時代になっており、力のある教員でなくては生き残っていけない。教員は初任者であっても学級を担任したり、授業を行ったりしなくてはならず、学力向上、問題行動への対応などとも相まって、教育委員会としては即戦力としての期待も込めた、より優れた人材を求めているのである。

実際に面接、場面指導などでは、具体的な場面を設定してのやりとりを問うケースがとても目立つ。「担任しているクラスで無視されるようになった。どのように指導していくか」「自分のクラスは音楽会でリコーダーの合奏を行う。練習の時に1人の子がリコーダーを忘れ、周囲から『やる気がないのか』と非難されている。面接官が非難する側になるので、対応してください」など、現場を知らなくてはなかなか答えられない設定である。

このような傾向に対応するには、やはり学校現場体験を多く積んで、実体験的に学んで行くことが必要だ。臨時採用、非常勤などで講師を務めている受験者のほうがきわめて有利になるだろう。

学生ボランティアによる補助教員制度などを実施している教育委員会は少なくない。公立の幼稚園、小・中学校などに学生がボランティアとして入り、授業や部活動の支援、補助を行う制度で、一般的には、地方自治体と教員養成課程を持つ大学などが協定を結んで実施されている。

文科省でも、大学生が継続的に小・中・高校の授業や部活動などを補助する「学校インターンシップ」(学校体験活動)を、教員免許の取得に必要な単位として認めるという中教審の提案に沿い、施策を進めており、実際に単位認定している大学もある。

教員免許を取得するには、現行制度では大学3、4年のときに教育実習が義務付けられているが、期間が短く不十分だとの指摘もあり、学校インターンシップの導入により、学生が部活動や事務作業など授業以外の活動に触れることで、早い時期から仕事の実態を把握し、自分の適性を判断できるようにして、教員の質向上につなげるということだ。

ボランティアには、学習活動の指導補助や担任補助、学校行事などの指導補助、教育相談的な活動の指導補助(不登校、学習障害など)、クラブ・部活動の指導補助、情報教育の指導補助、体育実技の補助、美術や音楽指導の補助などがあるので、自分に合った形で参加できる。大阪市の学校支援ボラティア事業で示している「支援の例」である。

学生ボランティアにおける支援の例(大阪市)
・各教科指導におけるティームティーチングの補助
・理科実験、音楽指導、体育指導(プール指導を含む)など実技指導の補助
・生活科、総合的な学習の時間の指導補助
・情報教育(パソコン)やクラブ活動などの指導の補助
・校外活動、体育的行事、学芸的行事など学校行事の補助
・障害のある子どもの学習・学校生活の介護補助
・幼稚園での保育活動の補助・支援 など

学校に行く回数は、週に1~2度程度という場合が多いが、その期間は半年から1年間など長期にわたっているため、学校現場の実際をじっくり学べるし、そこで得た経験は面接などで十分生かせる。

場合によっては、その学校の教員が、面接や論作文の指導してくれることもあるという。

ボランティアは、多くの場合、登録制となっている。希望者は教育委員会の台帳に登録され、各学校の条件に合えば学校で活動してもらう、という流れである。まずは、地元の教育委員会に問い合わせてみることである。

教員養成をしている大学では、あっせんをしていることも多い。ぜひ、キャリアセンターなどで相談してみよう。

教員採用試験に役立たせるためにも、また、採用後スムーズに教員としての教育活動に入るためにも、学生ボランティアで学校体験を豊富に積むことをお勧めしたい。