神谷正孝の5分でわかる教育時事2017-2018(9)教員に求められる資質能力

eye-catch_1024-768_kamiya2017kei塾主任講師 神谷正孝

教員の本質である「不易」が大切

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。出願シーズンのピークです。そのタイミングで、論文、面接、討論などでストレートに取り上げられやすい「これからの時代の教員に求められる資質能力」について考えておきましょう。なお、このテーマについては昨年の2月にも軽く取り上げています。時間があるときに電子版で確認しておきましょう。

〇中教審答申で示された「これからの時代の教員に求められる資質・能力」

教員に求められる資質能力については、これまでもさまざまな資料で言及されてきました。中教審答申においても、何度も言及されています。その中で、最近は「不易の資質能力」と言われることが多くなっています。「不易」とは「不易流行」という四字熟語からの言葉で、「時代を超えて変わらないもの」を指します。半面、時代の変化の中で、移り変わっていくものを「流行」と称します。新しい学びへの対応やICT、発達障害、日本語不自由者への対応などが「流行」に当てはまります。そうした新しい状況への対応力もさることながら、「いつの時代でも求められる資質能力」についてしっかりと理解していることが大切です。なぜならば、それが教育や教師の本質だからです。

直近の答申からその本質を抽出すると、2012年に出された中教審答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」の中で示された、「教職生活全体を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、社会の急速な進展の中で、知識・技能の絶えざる刷新が必要であることから、教員が探究力を持ち、学び続ける存在であることが不可欠である」ことが挙げられます。この答申では「教員免許状の修士化」について提言していますが、民主党政権から自民党政権へ交代するとお蔵入りになってしまいました。しかしながら、前半部分に示されている、「学び続ける教師像の確立」などの内容は、その後も踏襲されている重要事項です。

また、15年12月に出された「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティーの構築に向けて~」答申は、前半部分において、教職の意義とこれからの教員に求められる資質能力について言及しています。本答申は、穴埋め問題として、さまざまな自治体の筆記試験で出題されるとともに、論作文のテーマとしても、取り上げられています。教育の本質と密接に関連する「不易の資質能力」を、しっかりと自分の問題として捉えておくことが大切です。

〇新学習指導要領や「チーム学校」にみる「これからの時代の教員に求められる資質・能力」

加えて、新しい学習指導要領や「チーム学校」という組織改革の中で求められる力も理解しておく必要があります。新学習指導要領の下では、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善に代表されるような、「学びの専門家」「教えのプロ」としての資質能力が期待されてきます。とりわけ、「深い学び」の実現のためには、授業をデザインする側が、取り上げる学習テーマについて、テーマそのものの深い理解と併せて、知識同士をつなぎ合わせて構造化することが求められており、教科・科目の専門性も重要となるでしょう。

また、「チーム学校」においては、組織人としての「資質能力」が重要視されるはずです。私の膝元の宮城県でも今年度試験から「集団討議」を実施することになりました。今後は、「集団討議」や、それに代わりつつある「グループワーク」などで、コミュニケーション力や社会性などが厳格に評価されていくことになります。

【例題】
例題1 中央教育審議会答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」(平成27年12月21日)に示された「これからの時代の教員に求められる資質能力」についての説明として適切でないものを,次の1~5から1つ選びなさい。

1 使命感や責任感,教育的愛情,教科や教職に関する専門的知識,実践的指導力,総合的人間力,コミュニケーション能力等は,不易の資質能力として引き続き教員に求められている。

2 これからの教員には,自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステー ジに応じて求められる資質能力を,生涯にわたって高めていくことのできる力が必要と されている

3 変化の激しい社会を生き抜いていける人材を育成していくために教員には,常に探究 心や学び続ける意識を持つこととともに情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力を身に付けることが求められている。

4 教員には,児童生徒一人一人がそれぞれの夢や目標の実現に向けて,自らの人生を切 り開いていくことができるよう,これからの時代に生きる子供たちをどう育成すべきか についての目標を組織として共有し,その育成のために確固たる信念をもって取り組ん でいく姿勢が必要とされている。

5 「チーム学校」の考え方の下,新たに対応すべき教育課題等については,多様な専門性を持つ人材にその解決を委ね,教員は校内研修,校外研修など様々な研修の機会を活用して,得意教科について高度な専門性を高めることに専念していくことが必要とされている。

解答 5

【解説】答申からの出題である。「2.これからの時代の教員に求められる資質能力」については、全文を確認し、重要なキーワードをチェックしておこう。肢5が不適切。正しくは以下の引用の通り。

「…新たな教育課題も枚挙にいとまがなく,一人の教員がかつてのように,得意科目などについて学校現場で問われる高度な専門性を持ちつつ,これら全ての課題に対応することが困難であることも事実である。

そのため,教員が上記のように新たな課題等に対応できる力量を高めていくのみならず,「チーム学校」の考え方の下,教員は多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し,教員とこれらの者がチームとして組織的に諸課題に対応するとともに,保護者や地域の力を学校運営に生かしていくことも必要である。このため教員は,校内研修,校外研修など様々な研修の機会を活用したり自主的な学習を積み重ねたりしながら,学校作りのチームの一員として組織的・協働的に諸課題の解決のために取り組む専門的な力についても醸成していくことが求められる。」

例題2 次の各文は,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」(平成27年12月21日中央教育審議会)の中のこれからの時代の教員に求められる資質能力に関する記述の一部である。空欄に当てはまる語句を書きなさい。

◆これまで教員として不易とされてきた資質能力に加え,( ① )に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らの( ② )に応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことのできる力や,情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力などが必要である。

◆( ③ )の視点からの授業改善,道徳教育の充実,小学校における外国語教育の早期化・教科化,ICTの活用,発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応などの新たな課題に対応できる力量を高めることが必要である。

解答 ①自律的 ②キャリアステージ ③アクティブラーニング