直前講座 合否を分ける教採対策10の「新常識」(3)論文も「見た目」が重要

月刊『教員養成セミナー』前編集長/教育ジャーナリスト 佐藤明彦

教員採用試験では、自治体によっては論文試験がある。「論文」と言っても、長さはせいぜい1000字前後。400字詰め原稿用紙で2~3枚程度であるから、むしろ「作文」と呼んだ方が適切かもしれない。自治体によっては、「小論文」「論作文」などと呼ばれており、学術的な論文とは全く非なるものと捉えた方がよい。

それこそ卒業論文や博士論文をイメージして本番に臨めば、痛い目に遭う。これら論文では「定量的考察」に基づく「客観的見解」が求められるのに対し、教員採用試験では「個人的経験」に基づく「主観的見解」が求められるからだ。

もし日本の学校教育を客観的に考察し、淡々と課題や解決策を論じたとしたら、評論家のようだとして良い評価は与えられない。むしろ人間性がにじみ出るくらいに、自身の考え、実践する方策、教職にかける決意などを盛り込んだ方が高く評価される。

その点で、大学院生など学術研究の世界に片足を突っ込んでいる者は、頭の切り替えが必要となる。また、添削指導を受けるならば、研究者教員よりも現場経験のある実務家教員、できれば元校長経験者がよい。論文を採点する人の多くは校長であり、どのような論文が好まれるかを熟知しているからだ。

教員採用試験の論文は、「序論」「本論」「結論」の3段構成で書くことが定石とされている。「序論」ではテーマの背景や課題を述べ、「本論」では自身が取り組む方策2つ程度を述べ、「結論」ではまとめと決意表明を述べる。これが定石として広く知られており、多くの受験者がこれにのっとって執筆練習を重ねている。

無論、「定石」にすぎないことから、それ以外の構成で書けば即アウトというわけではない。しかし、管理職試験の論文もこれが定石とされていることから、「序論」「本論」「結論」の形式で書かれた論文は、多くの採点者にとって親しみやすい。逆に、改行や見出しがなく、文字がびっしり埋まった答案には、アレルギー反応を示す採点者が多い。

「見た目」の話でいえば、字の丁寧さも、少なからず評価を左右する。評価項目に「字の美しさ」があるわけではないが、そもそも乱雑に書かれた答案は、採点者の読む意欲をそいでしまう可能性がある。採点者は1人で何十枚もの答案を採点する。その負担を思えば、「見た目」を意識して丁寧に書く配慮が、高評価への前提条件と考えた方がよいであろう。

面接試験においては「見た目」が重要と言われるが、論作文試験においても「見た目」を意識して答案を作ることが、良い評価を得る上でのポイントとなってくる。