直前講座 合否を分ける教採対策10の「新常識」(6)志願書・面接票には「仕掛け」が必要

月刊『教員養成セミナー』前編集長/教育ジャーナリスト 佐藤明彦


教採試験は、大学受験と同様、志願書を提出するところからスタートする。志願書は、いわゆる受験申し込みの「手続き」に該当するわけだが、自治体によっては履歴のほかに、「志望動機」や「自己PR」を記入させる。そうした志願書の体裁は、民間企業のエントリーシートに近い。

民間企業の就活との大きな違いは、エントリー段階で「落とされる」ことがない点である。さらに言えば、志願書自体が採点されることもない。それなのに、なぜ「志望動機」や「自己PR」を書かせるのか、疑問を持つ人もいるであろう。結論から言えば、「志望動機」や「自己PR」は、面接試験において手元資料として活用するためにある。面接官は、志願書の記述内容を見ながら質問を組み立てる。例えば、「志望動機」欄に「自治体の教育方針に共感したから」と書かれていれば、「具体的にどのような点に共感したのか?」などと質問する。「自己PR」欄に「リーダーシップがある」と書かれていれば、「具体的に発揮した場面は?」などと質問する。なお、志願書に「志望動機」や「自己PR」の記入欄がない自治体もある。そうした自治体の多くは、1次試験合格者に「面接票」を記入・提出させる。

いずれにせよ、面接官が質問を組み立てる際のよりどころとして活用するのが志願書であり「志望動機」「自己PR」である。

そのため、志願書は面接試験の質疑応答を想定して、計画的に作成する必要がある。聞いてほしい事柄(質問トラップ)を仕込んでおけば、面接官とのやり取りを自分のペースに引き込めるかもしれない。また、面接試験の本番前には、志願書の写しに目を通し、戦略を練っておくことも重要である。

なお、面接官が受験者の志願書を最初に見るのはいつかといえば、面接試験の「直前」である。本来なら数日前に配布しておけばよいのだが、個人情報保護の観点から難しく、面接官は直前にしか見ることができない。そう考えると、志願書の「聞いてほしいところ」を目立たせるような工夫も、効果的な手法と言える。ただし、面接官に渡されるのはモノクロコピーのため、赤ペンやマーカーを使用しても意味がないので注意が必要だ。

今年度の受験者は、すでに志願書の提出が済んでいるはずだが、面接前には必ず記入内容を見返し、質問されそうな部分をチェックしておくことが大切である。また、これから「面接票」を書く人には、先述した「仕掛け」を作っておくのをお勧めしたい。