特別寄稿 元全日本中学校長会長 佐野金吾 誇りと喜びのある教師生活

ここ数年、教職志望者の減少が指摘されている。いわゆるブラック部活動など教師の仕事の大変さばかりがクローズアップされたり、加えて民間企業の採用が好調であったりすることがその要因であろうか。いうまでもなく、教師はやりがいと魅力のある職業である。ここでは、元全日本中学校会長で「教育新聞」論説委員室顧問である佐野金吾氏に、教職志望者に向け、改めて教師という仕事の素晴らしさをつづってもらった。面接では、教職への熱意を語ることが必要とされている。ぜひ参考にもしてもらいたい。

生徒とともに成長を続ける
熱意を傾けられる仕事として

生徒の成長に感動する

教師は、生徒の心と体の成長に大きく関わっている職業です。特に中学生は子供から大人へと心身共に急激に成長していきますので、教師はその姿を身近に感じ、見守り、支援に深く関わることになります。

中学校生活を通して最も感動的な場面は卒業式でしょう。特に、初めての学級担任として生徒と共に過ごした3年間、そして教職生活最初の卒業生を送り出す卒業式、立派に成長した姿に接したときの感動は、生涯忘れることはできないでしょう。

この感動こそが教師としての原動力です。

民間からの転職者も

厚生省の調査によると最も満足度の高い職業は教師だそうです。私の身近にいる若い教師の中には大手の旅行会社や金融機関を中途退社し、合格することが難しい東京都の教員採用試験にチャレンジし、見事、教職に就く夢を実現した方が数名います。

その方々は現在、都内の中学校や高等学校の教師として勤務しています。皆さん、教職に就くことが切なる願いでした。その願いを実現して、現在は生徒と元気に、楽しく、充実した教師生活を過ごしています。

世間では、教師はブラック企業だとか、保護者対応が大変などと教職に対するマイナスのイメージが喧伝(けんでん)されていますが、教師生活の全てを適切に捉えているとは言えません。

現に、どの学校を訪れても元気のよい生徒の声が聞こえてきますし、教師も喜々として活動している様子がうかがえます。

教師を、自らの夢を実現する道として選んだ方は、教師こそが天与の職という自覚と誇りを持って、日々過ごしています。

専門的な能力が求められる

中学校教師の主な職務として、まず、担当教科の指導に当たることがあげられます。教師が生徒の興味・関心や理解に結び付く授業の工夫に取り組めば、生徒からはそれなりの反応が得られますし、教師としての使命感や自己達成感を得ることができます。

マニュアルを頼りにした授業では、生徒からはすぐ見放され、教師としても壁に突き当たってしまいます。単元の目標を授業で実現するためには、目標の実現に向けた学習内容を整えること、生徒の学習状況に応じた学習活動の工夫が必要です。

マニュアルに従った仕事をこなすこと以上に、教師には多面的で専門的な能力や技能が求められています。しかし、そこにこそ専門職としての誇りがあります。

自分が本当にやりたいこと、好きなことに関わり続ける生涯は、誇りであり喜びとなります。教職は、皆さんの夢を成就させ、誇りある生涯を送ることができる職と言えます。

生徒と共に教師も成長し続けられる生涯にこそ、教職としての魅力があります。

(「教育新聞」論説委員室顧問)