教員養成の立場から見た教員採用の課題―教員採用試験の倍率低下を考える(上)教職を選択しない時代に

帝京科学大学教育人間科学部教授 釼持 勉

2019年度教員採用試験の2次選考も山場を超えて、次年度に向けて動き出している。その中にあって、小・中学校を中心とした倍率低下の傾向について論じておきたい。

(1)倍率低下の現状

教員採用試験の倍率が低下していることについては「教職のブラック化」「教師の働き方改革」などが影響しているとみられている。部活動など環境改善していこうとする動きは活発になっているが、教師の仕事量は減少していないのが実情だ。

教採試験の倍率は、今夏の19年度試験においても低下傾向を示している(表。数値は7月31日現在)。

(2)ブラック化だけが要因ではない

現在、全国的に教員不足時代を迎えていると言われている。新年度になっても、定数の教員の配置すらままならない事態も起きている。

小学校の倍率低下は、すでに5年前から経年で減少傾向を示していたが、今夏は3倍以下の自治体が一気に増えた。教職に魅力を感じない学生が増え、教師を職業として選択しない時代に向かっているといっても過言ではない。中学校も低下傾向が進み、倍率2倍台という自治体も現れている、単に「教職のブラック化」だけが要因ではないだろう。大学、行政、学校現場を含め、教員界全体の中での人材育成の在り方が問われているのではないか。働き方改革の動向も注目しなくてはならない。

次回で具体的な状況と解決に向けた道筋を論じたい。