神谷正孝の5分でわかる教育時事2017-2018(13)「活用力」の育成が課題に

eye-catch_1024-768_kamiya2017kei塾主任講師 神谷正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾(http://www.kei-juku.jp/)主任講師の神谷です。今年受験されている方は、2次試験が終わった方もいらっしゃると思います。試験対策、本当にお疲れさまでした。これから受験を考えている方、1次対策としてこのコンテンツを利用している方は来夏の試験に向けて計画的に取り組んでいきましょう。今回取り扱うテーマは、7月末に公開された学力テストの結果についてです。これは採用試験では必須テーマです。

最近の採用試験における傾向を見ると、ご当地型にシフトしてきています。すなわち、全国的な傾向よりも、「わが県の傾向」を重視するということです。全国的な学力テストが復活し、10年たちましたが、各自治体における取り組みも盛んになっています。比較的多いのが、予備テスト的な試験を課している自治体です。独自のデータを収集し、弱点を把握し、強化に努めるという形態で、さまざまな自治体で行われています。自分が受験しようとしている自治体の学力の状況はどのようなものか、どんな点に課題があるのか、課題の克服に向けてどのような取り組みをしているのか、などは要確認事項です。

さて、「学力」を語るとき、重要なのはその捉え方です。試験の出題動向を見ると、模擬授業試験の課題の前提条件として「主体的・対話的で深い学びの実現」や「活用する力の育成」などといった方向付けがなされていることが多くあります。採用試験対策では、いま求められている「学び」について知っておくのはもちろん重要です。さらに、今後の社会を見据えて、児童生徒に身に付けさせるべき「学力」とはどのようなものかを、共通理解しておくことは必須です。採用試験を実施する側は、「知っていることを前提に」聞いてくるのです。

現在学力は「確かな学力」「量から質への転換」など、さまざまな説明がなされていますが、要するに、知識量の多い少ないを問題にするのではなく、知識を活用する――つまり、既存の知識同士を組み合わせたり、結び付けたりしながら、新しい知見を生み出したり、知っていることを基に深めたりする――ことが問われると理解しておくとよいでしょう。

また、新学習指導要領で言われている「知識の構造化」や「習得・活用・探究という学びのプロセス」についても押さえておく必要があります。

全国学力学習状況調査の結果を見ると、依然として「活用する力」が弱いと指摘されています。どの自治体においても「活用力」の育成は大きな課題であり、受験生としてはその点に問題意識を向けなければなりません。

加えて、最近は家庭の経済力と学力との相関も指摘されています。しかし、家庭の経済力が高くない場合でも、小さいころから読み聞かせを行ったり、生活習慣を整えたりすることが高い学力につながっているとの指摘もあります。生まれついた家庭の経済力で全てが決まってしまうのであれば「むなしい」の一言に尽きますが、そうではない可能性が示されているのは、今後皆さんが取り組むべき方向性を示唆しているとは思いませんか。

このように、自分がどのような取り組みをしていくかを考えることが、「ジブンゴト」にするということです。受験の際に評論家的な「ヒトゴト」に終始しては意欲が疑われます。自分の取り組み方や問題意識として時事を理解することが大切です。

【例題】

1 次の文は「全国学力・学習状況調査」について説明したものである。適切なものを選びなさい。

1.全国学力・学習状況調査は,平成19年度より約40年ぶりに復活し,全国すべての国公私立小・中学校が参加する標本調査方式で実施されている。
2.全国学力・学習状況調査は,平成24年4月以降,小学6年生と中学3年生を対象として,国語・算数(数学)・理科の3科目で実施されている。
3.全国学力・学習状況調査における質問紙調査の結果によると,児童・生徒の学習時間,基本的生活習慣と正答率には相関がみられなかった。
4.全国学力・学習状況調査の結果によれば、「自分には,よいところがあると思いますか」との質問に,肯定的に回答した児童生徒の方が,平均正答率が高い傾向が見られた。

解答4
解説 1:標本調査ではなく悉皆調査(全数調査)。2:理科は平成24年度より3年ごとに実施される。平成24・27年度に続き平成30年度で3回目となる。3:相関関係がみられる。4:「自分には,よいところがあると思いますか」との質問に,肯定的に回答した児童生徒の割合も増加傾向が見られ,平成30年度は約8割となった

2 以下に示すのは、中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」の一部である。空欄に当てはまる語句を選びなさい。

○一方で,我が国の子供たちはどのような課題を抱えているのであろうか。学力に関する調査においては,判断の( 1 )を明確に示しながら自分の考えを述べたり,実験結果を分析して解釈・考察し説明したりすることなどについて課題が指摘されている。また,学ぶことの楽しさや意義が実感できているかどうか,自分の判断や行動がよりよい社会づくりにつながるという意識を持てているかどうかという点では,肯定的な回答が国際的に見て相対的に低いことなども指摘されている。

○こうした調査結果からは,学ぶことと自分の人生や( 2 )とのつながりを実感しながら,自らの能力を引き出し,学習したことを活用して,生活や社会の中で出会う課題の解決に主体的に生かしていくという面から見た学力には,課題があることが分かる。

中略

○子供たちの読書活動についても,量的には改善傾向にあるものの,受け身の読書体験にとどまっており,著者の考えや情報を読み解きながら自分の考えを形成していくという,能動的な読書になっていないとの指摘もある。教科書の文章を読み解けていないとの調査結果もあるところであり,文章で表された情報を的確に理解し,自分の考えの形成に生かしていけるようにすることは喫緊の課題である。特に,小学校低学年における学力差はその後の学力差に大きく影響すると言われる中で,語彙の量と質の違いが学力差に大きく影響しているとの指摘もあり,( 3 )の育成は前回改訂に引き続き課題となっている。

語群
ア.言語能力  イ.情報活用能力  ウ.生活  エ.社会  オ.根拠や理由
カ.エビデンス

解答 (1)オ  (2)エ  (3)ア

特集