神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(1)教育時事の攻略方法

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。来夏の試験に向けて対策を本格的にスタートするタイミングが、この10月です。

試験対策で一番苦労するのが「教育時事」です。範囲が広く絞りにくいことや、資料が膨大でどこをチェックしたらよいのか分からない、(特に2次試験では)自分の考えや取り組み方を聞かれるなど、独力での対策が難しい分野です。

今回からリニューアルする、2018-2019の連載では、2次試験や論文試験も見据え、内容の解説のみならず「考えるポイント」や「考え方の方向性」についても示していきたいと思います。

第1回の今回は、教育時事の攻略方法について示すとともに、来夏の試験に向けた重要テーマとその対策について確認します。

◆教育時事・1次試験の出題形式

教育時事は、学習指導要領改訂のような数年間に及ぶ大きなテーマから、「ご当地」の教育事情や教育施策などのようなローカルテーマまで多岐にわたります。出題のされ方も、答申資料や通知からの引用を基に空欄補充させる問題や、内容の正誤を問う択一式の問題、時事的なテーマについて具体策を論述させる問題など、さまざまな形で出題されています。

資料からの空欄補充問題では、必ずしも本文を「暗記」している必要はないものの、各資料で取り上げられている「テーマ」について、「キーワード」を理解していることが大切です。ちなみに、空欄になる「キーワード」は「熟語」もしくは「カタカナ」が多いという特徴があります。

正誤問題では、各資料の要点を押さえておくことと、その分野の方向性を理解しておくことが大切です。多くの場合、誤りの選択肢は「逆の内容」で作成されています。例えば、「キャリア教育」は「学校の教育活動全体で実施すること」や「地域や社会との連携」が基本的方向ですが、誤りの選択肢では、「特別活動の中でのみ実施する」「学校の中だけで実施する」など逆の方向について述べているものが多くあります。それぞれのテーマについて、方向性をつかんでおくことが攻略の第一歩です。

取り上げられている「テーマ」では、「ご当地」の教育事情や教育施策などのようなローカルテーマが気になるところではありますが、「教職教養」の基礎知識がないと、なかなか「教育施策」の理解につながりません。はやる気持ちを抑え、「教職教養」――特に「教育原理」や「教育法規」の対策を先に進めましょう。ある程度基礎知識がついてきた段階で、各県の教育振興基本計画や教育施策を確認すると理解が進みます。このことは、他のテーマについても言えます。「教育時事」の攻略のためには、先に「教職教養」各科目の対策を進めることで内容の理解が深まるという特性を理解しておくことが大切です。

◆2次試験や論文も視野に入れると…

2次試験や論文試験では、教育時事について「理解している」だけでは不十分です。理解を基に、「自分ならどうするか」といった関わり方や、「どこに実務上の課題があるか」といった問題意識などが問われます。小中学校における「道徳の教科化」を例として挙げるのであれば、「道徳の教科化」の是非を考えるのではなく、教科化の背景と、目指す方向性を押さえた上で、「どのように授業展開するか」「そこで、どのような課題があるか」などを踏まえて、「具体的な授業展開をどうするか」「課題をどのように解決するか」と、自分の取り組み方を具体的に述べることが求められます。もちろん、そこでは一定のバランス感覚も要求されます。

自分の考えを具体的に述べるためには、「どこが具体化のポイントか」、「どこに課題があるか」などの「切り口」をつかむことが大切になります。

◆本連載では…

来夏の試験では「学習指導要領」「教育振興基本計画」「次世代の学校・地域創生プラン」などの大きなテーマの出題が予想されます。併せて、「学力テスト」「生徒指導に関わる問題行動調査」などは、ローカルテーマとしても大切です。加えて、いわゆる「〇〇教育」といわれるテーマ(国際理解・環境・キャリア・情報・主権者など)についても出題が考えられます。

ローカルテーマは、それぞれの自治体によっても、教育課題や問題意識が異なるため、重要テーマも変動しますし、全国で話題になっていることが、必ずしもその自治体で最優先のテーマにならないことも考えられます。学力調査や問題行動調査は、自分の受ける県と、近隣県の状況などを比較する視点が必要です。

これから来夏の試験まで、厳選されたテーマについて「テーマ解説」「考える切り口」を分かりやすく説明していきたいと思います。


【問題】

下の文は,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミニュニティの構築に向けて~(答申)」(平成27年12月21日 中央教育審議会)の一部である。次の問いに答えよ。

2.これからの時代の教員に求められる資質能力

教員が備えるべき資質能力については,例えば(a),(b),(c),(d),(e),(f)等がこれまでの答申等においても繰り返し提言されてきたところである。これら教員として不易の資質能力は引き続き教員に求められる。

今後,改めて教員が高度専門職業人として認識されるために学び続ける教員像の確立が強く求められる。このため,これからの教員には,自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を,生涯にわたって高めていくことのできる力も必要とされる。……略……

一方,学校を取り巻く課題は極めて多種多様である。いじめ・不登校などの生徒指導上の課題や貧困・児童虐待などの課題を抱えた家庭への対応,キャリア教育・進路指導への対応,保護者や地域との協力関係の構築など,従来指摘されている課題に加え,さきに述べた新しい時代に必要な資質能力の育成,そのためのAアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善や(g)の充実,小学校における外国語教育の早期化・教科化,ICTの活用,インクルーシブ教育システムの構築の理念を踏まえた,発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応,(h)への対応,幼少接続をはじめとした学校間連携等への対応など,新たな教育課題も枚挙にいとまがなく,一人の教員がかつてのように得意科目などについて学校現場で問われる高度な専門性を持ちつつ,これら全ての課題に対応することが困難であることも事実である。

そのため,教員が上記のように新たな課題等に対応できる力量を高めていくのみならず,「チーム学校」の考え方の下,教員は多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し,教員とこれらの者がチームとして組織的に諸課題に対応するとともに,保護者や地域の力を学校運営に生かしていくことも必要である。このため教員は,校内研修,校外研修など様々な研修の機会を活用したり自主的な学習を積み重ねたりしながら,学校作りのチームの一員として(i)・協働的に諸課題の解決のために取り組む専門的な力についても醸成していくことが求められる。

  • 文中の(a)~(f)に当てはまる語句を選んだとき,適切でないものはどれか。次の1~6から1つ選べ。

1.a―使命感や責任感

2.b―教育的愛情

3.c―教科や教職に関する専門的知識

4.d―実践的指導力

5.e―問題解決能力

6.f―コミュニケーション能力

  • 文中の下線部Aは、学習指導要領においては、具体的にどのような学びとして示されるか。

1.主体的・活動的で深い学び

2.主体的・対話的で深い学び

3.対話的・協働的で深い学び

4.主体的・協動的で豊かな学び

  • 文中の(g)~(i)に当てはまる語句の組合せを選んだとき,正しい組合せはどれか。次の1~6から1つ選べ。

1.g―特別活動  h―保護者等  i―計画的

2.g―体験活動  h―学校安全  i―総合的

3.g―道徳教育  h―保護者等  i―組織的

4.g―特別活動  h―地域課題  i―計画的

5.g―体験活動  h―地域課題  i―総合的

6.g―道徳教育  h―学校安全  i―組織的

解答 (1)5 (2)2 (3)6

【解説】(1):(e)には「総合的人間力」が入る。(2):アクティブ・ラーニングについては、「主体的・対話的で深い学び」として示されている。