着任前講座 最新が分かる10の学校事情(2)学校のICT化


月刊『教員養成セミナー』前編集長 教育ジャーナリスト 佐藤 明彦


「IT業界」「IT企業」など、一般では「IT」という単語が使われていますが、学校教育の分野では「ICT」というのが一般的です。「Information and Communication Technology」の略で、「Communication」を入れるあたりは、いかにも教育分野らしさを感じます。

そんな学校教育の「ICT」ですが、ここ数年、いくつか変化が生じてきています。4月から教壇に立つ人は、ICT教育の先進校に着任する可能性もあるので、現場の実情くらいは押さえておきたいところです。

大きな変化は三つ挙げられます。一つ目は、タブレット端末の普及です。2000年代、学校におけるICT機器の活用はパソコンが中心でしたが、ここ数年は「iPad」などのタブレット端末が主流となってきています。子供たちが自由に持ち歩ける点、動画や写真などを撮れる点、自宅学習でも使える点などが、普及を後押ししている要因です。東京都荒川区のように、ほぼ全ての小・中学生に1人1台の端末を貸与している自治体もあります。

二つ目は、電子黒板の普及です。以前、電子黒板は幅2メートルほどあるモニター型が主流でしたが、設置スペースを取る上に操作方法が煩雑なこともあって、あまり普及していませんでした。しかし近年は、上方から照射するタイプの比較的安価な電子黒板が登場し、一気に広がりつつあります。東京都新宿区のように、全ての小・中学校にこのタイプの電子黒板を導入し、黒板をホワイトボードに切り替えた事例もあります。

三つ目は校務のICT化です。かつては紙ペースだった業務書類をパソコン上で作成・処理するようになってきました。導入状況は自治体によって異なりますが、出席管理や成績処理などを全てデータ化し、クラウドで集約しているような地域もあります。

このように学校のICT化はあらゆる側面で進んでいますが、注意したいのはICT自体は「手段」にすぎず、「目的」ではない点です。学校教育の目的は、子供の資質・能力を伸ばすことであり、そのための「手段」として有効だから活用するというスタンスを忘れてはいけません。ICTに強いからといって、教員がやみくもに活用すれば、それこそICTを目的化するような人材を育ててしまう可能性もあります。

プログラミング教育も同じで、プログラミングを通じて論理的思考力を養う目的を忘れないことが大切です。

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