帝京科学大学教育人間科学部教授 剱持 勉
2019年度の教育採用選考の倍率低下傾向は、教員の質を保証できるか心配する声も上がっている。すると、いわゆる即戦力を求めて採用選考が進むことも予測できる。現場感覚に優れ、すぐに学級経営ができる教員の採用が優先されるようになるかもしれない。
こうした中、来年に向けてどのようにモチベーションを上げて、再スタートを切ればよいのであろうか。
(1)「なりたい自分」から「やりたい自分」に転換する
「教師になりたい」という願望だけでは、採用の道は厳しい。「今の自分にできることは何か」「教員になってこのような教育活動を進めたい」、自分の考えに合わせて自分自身を改善していきたい。
今の私ならこんなことができるという自己の特性を最大限生かした「自分づくり」をすることが大切である。
2次選考で聞かれる質問は、学校現場に直結している内容も多い。「学習指導要領の移行期に重要なことは」「道徳の授業はどのように行われているのか」「小学校英語の授業はどうなっているのか」などは、実際の場で確かめていきたい。
(2)模擬授業を最大の発表の場にする
合格できなかった人の多くは、個人面接と模擬授業が納得できるものにならなかった感想をもっている、という。
個人面接では、自信のなさが出たり、「〇〇だと思う」「□□と考える」という話し方しかできなかったりが要因としてあげられる。
模擬授業では、自分の本来の力を発揮することができず、思い通りにならなかったという反省を数多く聞く。
自治体による違いはあるものの、授業のストーリー展開ができなかったということである。今、学校ではどのような授業が展開されているのか、機会を積極的に作って学校現場の姿を参観しておくとよいだろう。
(3)授業の観察眼を鍛えておく
教員採用選考の試験官は現場の管理職と企業などの人事担当者が多い。教育に関する確かな目を育て、適切な回答をすることが求められる。
そのために、よい授業をできるだけ多く参観する、授業を観察して課題を捉える目を培う、自分の観察眼でさまざまな授業を分析して改善点を考える、などの取り組みが大切である。