着任前講座 最新が分かる10の学校事情(6)学校における事故と責任範囲


月刊『教員養成セミナー』前編集長 教育ジャーナリスト 佐藤 明彦


日々、数百人もの子供が動き回っている学校では事故がつきものです。子供は時に想定外の行動を起こすため、教員が細心の注意を払っていても、けがを負ってしまうようなことが珍しくありません。ごくまれに、心臓系や中枢神経系の疾患により、何の前触れもなく子供が倒れるということもあります。独立行政法人日本スポーツ振興センターの調査によると、2016年度に学校で死亡した児童生徒数は47人。死因は頭部外傷、窒息、内臓損傷、全身打撲、突然死など多岐にわたります。

大きな事故が起きると、新聞やテレビで報じられ、学校の責任が追及されることもあります。もう10年以上前のことですが、中学生がゴールポストの下敷きになって死亡し、責任を感じた校長が自殺するという痛ましい出来事がありました。これから着任する人にとっては、「もし、自分のクラスの子に何かあったら…」と思うと、気が気ではないことでしょう。

事故が起きた際、学校の責任が問われるかは、第一に学校の「管理下」にあるかによって判断されます。子供が登校して下校するまでの間は、授業中も休み時間も「管理下」。登下校中も、子供が通常の経路・方法で通学していれば「管理下」として扱われます。さらに、遠足や修学旅行など校外の活動中も、家に着くまでは「管理下」です。

第二に、学校の責任は、「瑕疵(かし)」があったか否かによっても変わってきます。安全対策を十分にしていない中で死亡事故が起きれば、遺族から損害賠償を請求される可能性もあります。過去には、学校の責任が問われ、膨大な賠償金を支払った裁判例もあります。

では、賠償金を誰が支払うのかというと、公立学校の場合は国または地方公共団体です。教員個人が賠償責任を負い、身銭を切るようなことは基本的にありません。この点は、国家賠償法という法律によって規定されているので、安心していただいて大丈夫です。

もちろん、体罰や不適切な指導の結果として、子供が死亡したり負傷したりすれば、懲戒処分が下されます。状況によっては、退職を余儀なくされるケースもあるでしょう。新聞やテレビで報道されれば、甚大な社会的制裁を受けることにもなります。そうならないためにも、日頃から安全には十分過ぎるくらい配慮して、教育活動にまい進していただきたいと思います。

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