神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(3)新学習指導要領を攻略する(2)

kei塾主任講師 神谷正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。来夏の試験に向けて本格的に始動した方も多いものと思われます。長丁場になりますが、頑張っていきましょう。

さて、第3回の今回も新学習指導要領の「総則」について確認します。

前回は、総則のうち「第1 (小中高等)学校教育の基本と教育課程の役割」を取り上げましたが、今回は引き続き「第2」以下を確認していきます。

総則を理解する
◆総則「第2 教育課程の編成」について

新学習指導要領では、「各学校の教育目標を明確にする」とともに、「教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努める」ことを示した上で、「教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成」を重視しています。

ここでは、学習の基盤となる資質・能力として、「言語能力」「情報活用能力(情報モラルを含む)」「問題発見・解決能力等」を例示しています。

また、「豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」の育成についても次項で示し、両者の実現のために「教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」ことが示されています。例示の部分や、今回の指導要領で強調されている「教科等横断的視点」についてはキーワードとしてしっかり確認しておきましょう。

以下、「教育課程の編成における共通的事項」においては、「内容の取扱い」「授業時数の取扱い」について示しています。内容の取り扱いについては、前回改訂に引き続き、学習指導要領が最低基準であることが示されています。授業時数の取り扱いでは、前回改訂時に中・高で新設された「10分間程度の短い時間を単位とした特定教科の指導」が、今回小学校でも可能になりました。もちろん無条件で授業時数に繰り入れることはできず、「単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で、その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制が整備されているとき」に「当該教科等の年間授業時数に含めることができる」としています。

また、今回新たに、「学校段階間の接続」という項目が新設されています。

◆総則「第3 教育課程の実施と学習評価」について

前半部においては、今回の改訂の要点である「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善のための留意事項として、「知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実」「体験活動の充実」などを新設するとともに、情報活用能力の育成に「プログラミング教育」を示すなど、これまで示されていた内容に追記も行っています。

後半部は「学習評価」について示しており、新たに「学習したことの意義や価値を実感できるようにする」ことや「各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点」「単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫」することが盛り込まれました。

なお、この項目の前半部分で示されている授業改善の視点として示された七つの項目は、論文・討論などの基礎知識として必須の内容です(図表)。当該項目に関して、学習指導要領解説で要点を確認しておきましょう。

次回も「総則」の続きを取り上げたいと思います。

【例題】
1 下の文は,「小学校学習指導要領解説総則編」(文部科学省)の一部で、「主体的・対話的で深い学び」の3つの視点について述べたものある。空欄に当てはまる語句を書きなさい。

①学ぶことに興味や関心を持ち,自己の( ア )形成の方向性と関連付けながら,見通しをもって粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。

②子供同士の( イ ),教職員や地域の人との( ウ ),先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自己の考えを広げ深める「( ウ )的な学び」が実現できているかという視点。

③習得・活用・( エ )という学びの過程の中で,各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,( オ )を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。

解答 ア:キャリア  イ:協働  ウ:対話  エ:探究  オ:情報

解説:「主体的・対話的で深い学び」について述べられている部分である。解説からの引用ではあるが、そもそも、学習指導要領改訂のもとになった中教審答申からの引用である。

2 新学習指導要領における内容や授業時数の取扱いについて述べた次の文のうち、適切なものを選びなさい。

1.各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,各学校の実情や児童生徒の発達段階に応じて選択して取り扱うことができる。

2.各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものであるので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。

3.各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,児童[生徒]の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定める。

4.各教科等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導を行う場合においては、その時間を当該教科等の年間授業時数に含めなければならない。

5.総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学級活動に掲げる各事項の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学級活動に掲げる各事項の実施に替えることができる。

解答 3

解説 いずれも新学習指導要領総則「第2 教育課程の編成」を参照。1:選択しての取扱いは認められない。「特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない」と規定されている。2:「指導の順序を示すものではない」と規定されている。3:正しい。4:正しくは、「教師が,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制が整備されているときは,その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることができる」である。5:「学級活動の掲げる各事項」ではなく「学校行事に掲げる各行事」である。平成20・21年版の指導要領から盛り込まれた規定である(総合的な学習の時間と学校行事の同時実施)。