着任前講座 最新が分かる10の学校事情(7)教科となった「道徳」の特徴


月刊『教員養成セミナー』前編集長 教育ジャーナリスト 佐藤 明彦


2017年3月に告示された小・中学校新学習指導要領の新旧対照表を見ると、一つだけ全く変更のない教科があります。「第3章 特別の教科 道徳(道徳科)」です。なぜ、変更がないかといえば、この部分だけ15年3月に、先行する形で一部改正が行われたからです。そのため、すでに小学校では全面実施され、19年4月には中学校でも全面実施される予定です。

なぜ、道徳科だけが他より2年間先んじる形で実施する運びとなったのでしょうか。発端は、11年に滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ自殺事件です。12年になってこの事件がメディアで大きく報じられる中、13年に教育再生実行会議が第一次提言「いじめの問題等への対応について」を公表し、五つの改革事項を提言しました。その一つが、道徳の教科化でした。

余談ですが、安倍首相は道徳の教科化に並々ならぬ思いがあり、第一次内閣時代の教育再生会議においても、08年に「徳育」の教科化を提言しています。なお、道徳科の前の「道徳の時間」が導入されたのは1958年。安倍首相の祖父・岸信介内閣の時でした。

導入の経緯はさておき、教員となって担任を持てば、道徳科の授業を週1コマ実施しなければなりません。教科書があるとはいえ、まだ先行事例が乏しいことから、現職教員の多くが苦労をしています。中でも大変なのは、記述式の評価をどのようにするかです。

留意したいポイントの一つは、他の児童生徒との比較ではなく、個々人の成長過程を評価する点です。これは「個人内評価」と呼ばれ、実施する上では日常の観察やコミュニケーションも重要となってきます。もう一つのポイントは、評価が学校として組織的・計画的に行われる点です。どの学校も、校長と道徳教育推進教師が中心となって評価基準や評価方法を決めていくはずなので、その方針に従って進めていくことが求められます。

実際に1人で30~40人もの記述式評価を行うのは大変です。これまでも通知表の所見欄を書く作業が、毎学期末に教員の大きな負担となってきました。今回、新たに道徳科の評価が加わることで、その負担はより大きくなります。

着任1年目は初任者研修もあり、目の回るような毎日ですが、道徳科については記述式評価を行うことを前提に、早め早めの動き出しを意識しておくことが大切かもしれません。

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