着任前講座 最新が分かる10の学校事情(8)「教員免許状」の更新


月刊『教員養成セミナー』前編集長 教育ジャーナリスト 佐藤 明彦


今年度の採用試験に合格した大学生は、間もなく教員免許状が授与されます。有効期間は10年間なので、まだずっと先の話にはなりますが、更新の手続きをしなくてはいけません。自動車の免許状と同様、これを忘れると免許状が失効し、教壇に立てなくなってしまいます。

そんな間抜けなミス、するはずがない。そう考えている人もいるでしょうが、現実に「うっかり失効」で失職する人が毎年度、数多くいます。再び教壇に立つには、免許状の再取得と採用試験の再受験が必要となります。考えただけでも、ぞっとする話です。

教員免許状の更新制度が導入されたのは2009年4月です。それ以前に授与された免許状は「旧免許状」と呼ばれ、更新時期は「35歳」「45歳」「55歳」と年齢で区切られています。一方、09年4月以降に授与された免許状は「新免許状」と呼ばれ、更新時期は「取得・更新から10年後」。こうした制度的複雑さも、「うっかり失効」が生まれる一因と言えるでしょう。

免許状を更新するには、計30時間の更新講習を大学などで受講しなければなりません。3万円の受講料は教員の自己負担です。そうでなくとも忙しい中、身銭を切って遠方まで出向かねばならないわけで、教員の中には制度自体を疎ましく感じている人も数多くいます。実際、更新講習の成果自体も不透明な部分が多く、一部には廃止すべきとの声も上がっています。

なお、教職に就いていない免許状所持者、いわゆる「ペーパーティーチャー」については、更新講習を受講することができません。そのため、有効期間を過ぎた免許状は失効します。その後、教員になりたいと思った場合は、教員採用試験に合格した後、あるいは臨時的任用教員(または非常勤講師)の採用候補リストに登載された後に、更新講習を受講して免許状を更新するという流れになります。

余談ですが、自動車の免許状と違い、教員免許状は常時携帯の義務がありません。そのため、更新制の導入以前は、ほとんどの教員がたんすの中などにしまいっぱなしだったと言います。教員免許更新制が導入されたとき、慌てて免許状の在りかを確認した教員も多いと聞きます。

これから教員になる皆さんは、授与された免許状を大切に保管するとともに、10年後には更新が必要だと、頭の片隅に置いておいてください。