神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(5)教育の情報化の推進

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。インフルエンザが猛威を振るっています。健康管理に気を付けて試験対策を進めましょう。

さて、第5回の今回は「情報化の推進」がテーマです。学習指導要領の確認の中でも触れた「プログラミング」を含め、情報化についてどのような方向性が示されているのかを確認しておきましょう。

学習指導要領改訂の背景においても、情報化については今後ますます進展すると述べられています。IoT(Internet of things: モノのインターネット化)やAI(Artificial Intelligence: 人工知能)などといった言葉が頻々と聞かれるようになりました。また、しばしば情報機器のことを「ICT機器」と呼んだりもしています。ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、日本語では「情報通信技術」と訳します。

情報通信技術の分野は日進月歩で、新しい技術が次々に生まれます。そうした中で小さい頃から情報通信機器について知り、活用する経験は、グローバルな社会の中で、国際的に通用する技術の進展という点からも重要です。情報化の影の部分にとらわれすぎるあまり、ICT機器の活用に消極的になるのも考えものです。バランスを取った扱いが求められるでしょう。

そうした中で、情報教育で育成すべき能力はどのようなものでしょうか。

学び方や問題解決の仕方の一つとして、情報を主体的に選択・活用できる能力の育成を狙いとする情報教育では、「情報活用能力」を育成することが目標とされています。新学習指導要領の元になった答申(※)では「情報活用能力を構成する資質・能力」として、図の通り整理されています。

情報教育においては、「情報モラル教育」も大切な視点です。情報モラルとは、「情報社会を生きぬき、健全に発展させていく上で、すべての国民が身につけておくべき考え方や態度」(文科省委託事業「情報モラル等指導サポート事業~情報モラル指導実践キックオフガイド」)であると言えます。その範囲は、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任を持つこと、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピューターなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなど多岐にわたっています。コミュニケーション上のマナーのみならず、著作権や肖像権、不正アクセスなどのコンプライアンス(法令順守)の問題や、情報安全の視点も含まれることに注意しておきましょう。「情報モラル指導実践キックオフガイド」では、日常モラル指導と情報安全教育について言及しています。

「情報安全」の視点が児童生徒に共有されにくいこと(=自分の問題として考えず、根拠なく、自分は大丈夫、と考えてしまいがち)や、「してはいけないこと」の基準が個人によって異なることを踏まえた対応が必要です。もちろん、それぞれのメディアの特性を押さえることも大切です。SNSは非常に便利なツールです。SNSのサービスそのものを否定するのではなく、「使い方」の問題として、発達段階に応じた規制や管理も行いながら、児童生徒が危険に巻き込まれたり、コンプライアンス上の問題に巻き込まれたりしないようにしていくことが求められるでしょう。

これまでの学習指導要領の確認の中でも取り上げた「プログラミング」については、文部科学省が2018年11月に示した「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」に詳しく解説されています(図を参照)。併せて確認しておきましょう。

※中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」2016年12月

【例題】
1.近年,スマートフォン等の長時間の利用による生活習慣の乱れや不適切な使用によりいじめの問題等につながるケースも見られるが,スマートフォン等の安心,安全な利用について述べている文として適切でないものを,1つ選びなさい。

ア 児童生徒がスマートフォンやソーシャルメディァ等を利用する際,その留意点について親子で話し合うとともに家庭におけるルールを作り,守らせることが重要である。

イ 学校内においては,「ネット上のいじめ」や犯罪被害の予防等を含め,児童生徒のスマートフォン等の適切な利用について配慮することが必要である。

ウ 青少年がスマートフォンを利用する際は,フィルタリングの設定は必要であるが,その他,インターネットに接続可能であるゲーム機,タブレット端末,音楽プレーヤー等においては特に必要ない。

解答:ウ
解説:このような問題では、「一般常識」で考えて妥当なものはひとまずキープした上で、明らかにおかしいもの、部分的におかしなところを含むものをチェックしていこう。児童生徒が手を振れる、インターネットにつながる機器について対応することは必須である。スマホを使用するか否かが問題ではないことに注意しよう。
2.情報モラル教育に関わることについて述べている文として適切でないものを,次のア~エから1つ選びなさい。

ア 情報モラルはその大半が日常モラルであり,それに加えて基本的な情報技術の仕組みを理解しておくことが重要である。

イ 情報モラルについては,複雑に多様な問題があるように見えるが,その要因を整理すると,全ての問題はインターネットやゲームに依存することに起因する。

ウ スマートフォン等を利用している児童生徒の多くが,インターネットの長時間利用を自覚し,学年進行とともにその自覚が高まる傾向があるため,小学校段階からのインターネット等への依存回避の啓発教育が必要である。

エ SNSでのトラブル,コンピュータウイルスによる被害などが児童生徒の間で起こっており,安全教育の面から危険を回避するための知恵とともに情報社会の特性や仕組みを理解し,主体的に判断する力を養うことが求められている。

解答:イ
解説:文部科学省「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える~」の「指導の手引き」によると、情報モラルについては,以下のように示されている。
「複雑で多様な問題があるように見えるが,その要因を整理すると,全ての問題は,

①(インターネットやゲーム等に)依存する,

②相手とのやり取りで問題を起こす,

③自分が被害に遭う,の3つの視点に分類できる」