神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(8)振興計画の背景と目指す方向性

kei塾主任講師 神谷 正孝

学習の遅れを一気に取り戻すよい機会だった10連休ですが、有意義に過ごせたでしょうか。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。元号も変わり、令和となった初回の今月からは、6・7月の試験に向けて、狙われる時事テーマを取り上げながら、試験に備えたいと思います。

今回は、昨年も取り上げた「教育振興計画」について、別角度から掘り下げます。教育振興計画は、計画の具体的な内容が問われることは、ほとんどありませんが、計画の方向性や目指す理念など、空所補充形式の問題が作りやすいテーマでもあります。

また、前回取り上げた際にも書きましたが、背景事情や政策の方向性を読んでみると、現在の時事トレンドが見えてきます。

第3期計画の背景について

新学習指導要領の改訂の背景と重なるところも多くありますが、こちらの方がスケールが大きくなっています。

学習指導要領では、幼稚園~高等学校についての問題意識がメインですが、教育振興計画は、大学以降の高等教育や社会教育も含む教育全体に関わるものです。それだけに、グローバル化への対応などは、国家戦略的な色合いが強くなります。

2030年代以降の社会情勢の激しい変化や、society5.0の到来を踏まえた未来予測に基づき、基本戦略が定められるとともに、現在の子供たちの状況を踏まえた戦略立案が行われています。

ここでは図のように、「2030年以降の社会変化」と「子供たちの現状と課題」という、大きな二つの枠組みで捉えておきましょう。

第3期計画で目指す姿について

大切なので、再度取り上げます。第2期計画の「自立」「協働」「創造」の方向性を継承した上で、「個人と社会の目指すべき姿」として、以下の3点が挙げられています。

〇自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成

〇一人一人が活躍し、豊かで安心して暮らせる社会の実現

〇社会(地域・国・世界)の持続的な成長・発展

1点目に示された「個人の目指すべき姿」においては、第2期計画のキーワードである「自立」「協働」「創造」に加えて、「主体的に判断」することが盛り込まれました。判断の根拠になるのは、「経験」や「知識・技能」です。

3期計画の基本方針

基本方針は以下の五つです。

1 夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する

2 社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する

3 生涯学び、活躍できる環境を整える

4 誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する

5 教育政策推進のための基盤を整備する

採用試験では、キーワードを穴埋めさせる問題として出題される可能性大です。太字の語句を中心に押さえておきましょう。

◇ ◇ ◇

先に述べた通り、基本方針にぶら下げられた具体的な政策や数値については、出題の可能性が低いので、チェックしなくてもOKです。その代わり、背景事情を押さえることが大切です。

例題1 次の文は,平成30年6月15日に閣議決定された「教育振興基本計画」についての一部です。文中の(ア)~(オ)にあてはまる語句を,下のA~Oから1つずつ選び,その記号を書きなさい。

初等中等教育段階における,2030年以降の社会の在り方を見据えた育成すべき資質・能力については,「何を理解しているか,( ア )」,「理解していること・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか」という三つの柱で確実に育成するため,新学習指導要領の周知・徹底及び着実な実施を進める。その際特に主体的・( イ )で深い学びの視点からの授業改善(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)を推進することや,カリキュラム・マネジメントを確立することなどが重要である。

また,質の高い教育の提供に向けたきめ細やかな指導の充実や,子供たち一人一人の状況に応じた教育の推進に取り組むとともに一人一人がこれからの厳しい時代を乗り越え,新たな価値を創造していくためには,「真の学ぶ力」(学力の3要素)を身に付けることが必要となる。この力を初等中等教育から高等教育まで一貫して育成する教育を行っていくことが求められていることを踏まえ,新学習指導要領の実施や大学入学者選抜改革,大学教育改革などの高大接続改革を着実に進める必要がある。

確かな学力に加え,子供の健やかな成長のためには,豊かな心を育むことが不可欠である。このため,豊かな情操や規範意識,自他の生命の尊重,自己肯定感・自己有用感,他者への思いやり,対面でのコミュニケーションを通じて人間関係を築く力,困難を乗り越え,物事を成し遂げる力,公共の精神等の育成を図るとともに 日本の伝統や文化を継承・発展させるための教育を推進することが重要である。特に,こうした資質・能力を育む際には教職員と児童生徒との( ウ )関係が重要である。また,いじめや不登校など生徒指導上の諸課題について,校長がリーダーシップを発揮し,専門家や関係機関・団体,家庭,地域と連携しつつ( エ )と早期発見・早期対応に学校を挙げて取り組むことや,各学校段階を通じて必要な情報を共有すること,さらには社会体験活動や自然体験活動等も含め,児童生徒の多様な体験活動の機会を充実し。一人一人が自らの課題を乗り越えつつ,他者と協働して何かを成し遂げる力を育てることなどが重要である。

さらに体力は人間の活動の源であり,健康の維持といった身体面のほか。意欲や気力といった精神面の充実にも大きく関わっている。このため,子供の頃から各教育段階に応じて体力の向上,健康の確保,( オ )の充実を図ることが重要である。

A 自主的    B 組織的対応   C 何を学んだか   D 信頼  E 余暇
F 何かできるか  G 命の教育    H 情報交換     I 未然防止
J 精神面     K 対話的     L どう表現するか  M 良好な
N 双方向的    O 食育

解答: ア:F イ:K ウ:D エ:I オ:O