神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(11)働き方改革が問われたらどう答えるか

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。1次試験も終わり、2次試験に向けた準備も佳境に入ってきた頃と思われます。

今回取り上げる教育現場の「働き方改革」は、今年の人物試験対策の必須テーマの一つです。今年の1次試験においても、集団面接や討論のテーマとして出題している自治体が見受けられました。当事者としての意識も問われます。この機会に、行政文書の内容を踏まえて、どのように回答したらよいかを考えてみましょう。

働き方改革の問われ方は、さまざまです。「現場の一員としての提言」など、組織の一員としての改革の意見を問う形式や、「当事者としての心掛け」など、自身の取り組み方を問う形式が考えられます。

前者については、文科省や中教審が提言している内容を盛り込みながら話す(書く)ことが求められます。

文科省が2019年1月に出した、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」では、「勤務時間」を「超勤4項目(※1)以外の自主的・自発的な勤務も含め、外形的に把握することができる在校時間」とするとともに、校外での勤務についても、外形的に把握できる「職務として行う研修や児童生徒の引率等の職務に従事している時間」について「在校等時間」として「勤務時間」に含むとしています。

分かりやすく言うと、自己研さんの時間や業務外の時間を除く、学校や校外で勤務している時間を「勤務時間」とするということです。

ガイドラインにおいては、「勤務時間」の超過の上限を1カ月45時間以内、1年間で360時間以内という目安時間を設けています。

勤務時間を減らすためには、この目安時間を意識して、各自の業務をコントロールする必要があります。管理職のマネジメントの徹底や、業務の絶対量を効率化して減らす仕組みをつくる必要があります。

後者については、何よりも働き方改革の趣旨を押さえなければなりません。

上述のガイドラインでは、学校の働き方改革の趣旨は、「限られた時間の中で…授業改善や児童生徒等に接する時間を十分確保し、教師が自らの授業を磨くとともにその人間性や創造性を高め、児童生徒等に対して効果的な教育活動を持続的に行うことをできる状況を作り出すことを目指」すとされています。面接などの応答では、この趣旨を理解した上で、自分の取り組み方として前向き・積極的な方向の回答を考えるとよいでしょう。

「授業を磨く」とはどういうことか、「人間性や創造性を高める」とはどういうことか、自分はそのためにどのようなことに取り組んでいくのか、などを考えてみてください。

その上で、自分の業務について、優先順位の付け方やタイムマネジメント、クオリティーの高い授業づくりのための努力など、前向きで具体的な自分の取り組み方を述べられるとよいでしょう。

学校現場の働き方改革は、管理職のマネジメント能力、時短や協業の仕組み、体制づくりにかかる部分が大きいと言えます。

しかし、面接の場で、このような話に終始してしまうことは避けなければなりません。当事者意識に欠ける回答は、意欲を疑われます。各種資料で言われていることを基に、各自研究してみましょう。

問題編は、1次試験対策として問われる内容として構成しました。

※1 超勤4項目…①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等

【例題】
例題1 中央教育審議会「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(平成31年1月)で示された「これまで学校・教師が担ってきた14の業務の在り方に関する考え方」について分類したものである。項目と下線部の内容が適切でないものの組み合わせを選びなさい。
○基本的には学校以外が担うべき業務 ○学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務 ○教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
  • 登下校に関する対応
  • 放課後から夜間などにおける見回り、
    児童生徒が補導された時の対応
  • ア 地域ボランティアとの連絡調整
  • 調査・統計等への回答等
  • 児童生徒の休み時間における対応
  • イ 校内清掃
  • 部活動
  • ウ 学校徴収金の徴収・管理
  • 給食時の対応
  • エ 授業改善
  • 学習評価や成績処理
  • 学校行事の準備・運営
  • 進路指導・支援が必要な児童生徒・家庭への対応
1.ア・イ  2.ア・ウ  3.ア・エ  4.イ・ウ  5.イ・エ  6.ウ・エ
例題2 次に示すのは、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(文部科学省:平成31年1月)の一部である。下線部が適切なものを1つ選びなさい。

現在,我が国の学校教育が挙げてきた大きな蓄積と高い効果を持続可能なものとし,ア生徒指導を円滑に実施していくため,「学校における働き方改革」が進められている。

教師の業務負担の軽減を図り,限られた時間の中で,教師の専門性を生かしつつ,授業改善のための時間や児童生徒等に接する時間を十分確保し,教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々のイ生活の質や教職人生を豊かにすることで,教師のウ指導力を高め,児童生徒等に対して効果的な教育活動を持続的に行うことをできる状況を作り出す。これが「学校における働き方改革」の目指すところであり,文部科学省では,業務の明確化・適正化,必要な環境整備等,教師の長時間勤務是正に向けた取組を着実に実施していくこととしている。

また,政府全体でも関連する取り組みが進められる中,平成30年7月に公布された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下,「働き方改革推進法」という。)において,エ労働安全衛生法第36条における時間外労働に関する協定(いわゆる「36協定」)を結ぶにあたり,法定の労働時間を超える時間外労働の規制が新たに規定されたところである。

【解答】
例題1 解答:6

解説 ウ:「学校徴収金の徴収・管理」は「基本的には学校以外が担うべき業務」、エ:「授業改善」でなく「授業準備」が正しい。

例題2 解答:イ

解説 ア:新学習指導要領  ウ:人間性や創造性  エ:労働基準法