神谷正孝の5分でわかる教育時事2018~2019(12)ESD・SDGs

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。2次試験シーズンも終盤に入り、受験された方は、ほっと一息ついておられる頃ではないでしょうか。今年の受験シーズンの最終回の今回は、ESDおよび、最近耳にすることが多くなってきたSDGs(エス・ディー・ジーズ)について取り上げてみたいと思います。

まずESD(Education for Sustainable Development)とは、日本語で「持続可能な開発のための教育」と言います。持続可能な社会の担い手を育成するための教育で、環境・平和・人権・男女平等など、現代的な課題について次世代の形成者である児童生徒が、それぞれの問題として引き受けて、できることを考え実践する学習が展開されます。

ESDは、英語で、「Think globally, Act locally」と言われる通り、グローバルな課題について、ローカルに行動する(自分にできることを考え実行)ことが重要です。課題解決型の学習や協働的な学習を基調として、児童生徒が、社会の課題を理解し、社会の一員としての今後の在り方を考えることができるようにすることに主眼が置かれます。

「持続可能な開発」について、外務省ウェブサイトでは、以下のように述べられています。

―「環境と開発に関する世界委員会」(委員長:ブルントラント・ノルウェー首相(当時))が1987年に公表した報告書「Our Common Future」の中心的な考え方として取り上げた概念で、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことを言う。この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものである。

簡単に言えば、環境の保全と、経済・社会の発展(開発)を調和的に進めていくことです。

しかし、ESDのテーマとしては、必ずしも環境問題のみを取り上げるわけではありません。環境問題も持続可能な開発のテーマではありますが、もう少し大きな視点で捉える必要があります。昨今「SDGs(Sustainable Development Goals)」もよく取り上げられています。

これは、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された先進国を含む国際社会全体の開発目標です。2030年を期限とする包括的な目標として設定されたもので、17のゴールが国際的に共有されています。SDGsにおいて、教育は目標4に位置付けられ「すべての人に包摂的かつ公正で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」とされています。

さらに、ESDについては、ターゲット4.7に、持続可能な開発を促進するために必要な知識および技能の習得に向けて取り組むことと定められています。要するにESDは持続可能な社会の担い手づくりを通じて、SDGsの17全ての目標の達成に貢献するものであり、ESDの推進が、SDGsの達成につながると捉えてよいでしょう。

なお、第3期教育振興計画では、「第2部 今後5年間の教育政策の目標と施策群」の中で「今後の教育政策に関する基本的な方針」「1. 夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」ための目標において、「ユネスコスクール(※)の活動の充実を図り、好事例を全国的に広く発信・共有する」「地域の多様な関係者(学校、教育委員会、大学、企業、NPO、社会教育施設など)の協働により、ESDの実践・普及や学校間の交流を促進、ESDの深化を図る」「これらの取り組みを通して、持続可能な社会づくりの担い手を育む」ことが述べられています。

※ユネスコスクール:ESDの推進拠点校

文部科学省パンフレット「ユネスコスクールで目指すSDGs―持続可能な開発のための教育(ESD)」は必読です。(http://www.esd-jpnatcom.mext.go.jp/index.htmlよりたどれます)

 

【例題】
例題1 次に示すのは、「第3期教育振興基本計画」で示された「ESD」について述べられている部分を抜粋したものである。空欄に当てはまる語句を書きなさい。

○ ( 1 )な開発のための教育(ESD)の推進

・我が国がESDの推進拠点として位置付けている( 2 )の活動の充実を図り,好事例を全国的に広く発信・共有する。また,地域の多様な関係者(学校,教育委員会,大学,企業,NPO,社会教育施設など)の協働により,ESDの実践・普及や学校間の交流を促進するとともに,ESDの深化を図る。これらの取組を通して,( 1 )な社会づくりの担い手を育む。

例題2 次の各文のうち適切でないものを1つ選びなさい。 
  1. SDGsとは、国連持続可能な開発目標として設定された17項目を指し、その実現のためにはESDの推進が必要であるとされている。
  2. ESDの推進機関は、ユネスコで、ESDの推進拠点校を「ユネスコ・スクール」という。
  3. ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度として、①批判的に考える力 ②未来像を予測して計画を立てる力 ③多面的・総合的に考える力 ④コミュニケーションを行う力 ⑤他者と協力する力 ⑥つながりを尊重する態度 ⑦進んで参加する態度などが挙げられる。
  4. 中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」では「持続可能な開発のための教育(ESD)は次期学習指導要領改訂の社会科において基盤となる理念である」としている。
  5.  SDGsにおいて、教育は目標4に位置付けられ「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を保証し、生涯学習の機会を促進する」とされている。
解答

例題1 1:持続可能  2:ユネスコスクール

例題2 4

解説:「社会科」ではなく「全体」において基盤となる理念としている。