【神谷正孝の教育時事2019(2)】教員の研修

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。2020年夏に向けた試験対策として、第2回は、教員の採用と研修について確認していきたいと思います。教育公務員特例法の最近の改正も踏まえて、研修制度の在り方がどのようになっているのかをチェックします。

教員の研修

教育時事と直接関係しませんが、教職の常識として押さえておきたいのが、教員における研修の位置付けです。教員は採用された後も、「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と規定されています(教育基本法9条(1))。

一般の地方公務員の研修が「勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない」(地方公務員法39条)と規定されていることとの違いを押さえておきましょう。

教育公務員特例法(以下教特法)において、教員の研修は別表の通り規定されています。

教特法の改正

大量退職・大量採用の影響により経験の浅い教員が増加する中、教育課程・授業方法の改革への対応を図り、教員の資質向上に係る新たな体制を構築することを旨として教特法が改正されました(16年)。

改正の背景には、中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」(15年)や、それをもとに文部科学省が策定した「次世代の学校・地域創生プラン」(16年)で示された内容があります。すなわち「教師がキャリアステージに応じて修得すべき能力を示す指標を策定」することなどです。

教特法では第21条第2項において、「教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない」と示していますが、その実施のための環境整備として、以下のことが同法で規定されました。

・文部科学大臣による「校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針」の策定(同法22条の2)

・任命権者による「指針」を参酌した「校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定(同法22条の3)

・任命権者による「指標」を踏まえた「教員研修計画」の策定(同法22条の4)

・任命権者による、指標の策定に関する協議並びに当該指標に基づく当該校長及び教員の資質の向上に関して必要な事項についての協議を行うための協議会の組織(同法22条の5)

「指針」に基づき任命権者が策定する「指標」については、各県の教育委員会のウェブサイトにその内容が掲載されているので、一読しておくとよいでしょう。

中堅教諭等資質向上研修

さらに、この改正では、従来の「十年経験者研修」に代わり、新たに「中堅教諭等資質向上研修」が位置付けられました。研修の実施時期の弾力化を図り、中堅教諭等として職務を遂行する上で必要とされる資質の向上を図るための研修とするなど内容が見直されています。各種研修の名称や実施主体、趣旨などを整理しておきましょう。

1.次の文は,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)(平成27年12月21日 中央教育審議会)」の一部を抜粋したものである。空欄に当てはまる語句を書きなさい。

〈略〉

今後,改めて教員が高度専門職業人として認識されるために( ① )教員像の確立が強く求められる。このため,これからの教員には,自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らの( ② )に応じて求められる資質能力を,生涯にわたって高めていくことのできる力も必要とされる。

また,変化の激しい社会を生き抜いていける人材を育成していくためには,教員自身が時代や社会,環境の変化を的確につかみ取り,その時々の状況に応じた適切な学びを提供していくことが求められることから,教員は,常に( ③ )や( ① )意識を持つこととともに情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力を身に付けることが求められる。

解答

①:学び続ける ②:キャリアステージ ③:探究心

[解説]同答申の中で,「近年の教員の大量退職,大量採用の影響等により,教員の経験年数の均衡が顕著に崩れ始め,かつてのように先輩教員から若手教員への知識・技能の伝承をうまく図ることのできない状況があり,継続的な研修を充実させていくための環境整備を図るなど,早急な対策が必要である。」と問題点を指摘した上で,「教えを請うべき経験の浅い教員よりも,それらの教員を指導し得るミドルリーダーとしての経験を有する教員の方が少ないという,少なくとも直近の30年間には経験したことのない状況」であると指摘している。こうした問題意識を受けて,教育公務員特例法の改正につながっている。

2.教育公務員の研修に関する説明として適切なものは,次の1~5のうちのどれか。

1.教育公務員は研修を受ける権利があるので,いつでも好きなときに自分の資質や能力を高めるための研修に参加することができる。

2.教育公務員の研修の中には,現職のままで長期にわたる研修も認められているが,これは本属長の承認があれば,実施することができる。

3.教育公務員は,採用の日から1年間,資質能力を高め,専門分野を高めるための初任者研修を受けなければならない。

4.教育公務員は,採用された後,十年が経過したら中堅教諭等資質向上研修を受けることができる。

5.養護教諭や栄養教諭は,教育公務員特例法で定められている初任者研修の対象外とされている。

解答 5

【解説】 教育公務員特例法21~24条を確認しておこう。1:「いつでも好きなときに」が誤り。授業に支障がない限り,本属長の承認を受けて,勤務場所を離れて研修できる。2:現職のまま長期にわたる研修は「任命権者の定めるところにより」可能である。3:「資質能力を高め,専門分野を高めるための」が誤り。「教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修」である。4:中堅教諭等資質向上研修は「受けることができる」ではなく,任命権者が実施しなければならない研修である。また,実施時期は必ずしも10年経過後とは限らない。5.正しい。「教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修」であることから判断しよう。