【押さえたい教育時事(13)】OECDの学習到達度調査(PISA)2018

読解力低下など最新の動向を押さえる

OECD(経済協力開発機構)は昨年12月、生徒の学習到達度調査(PISA)の2018年調査の結果を発表した。日本は科学的リテラシーと数学的リテラシーで、前回同様世界トップクラスを維持した一方、読解力では国別順位や平均得点が15年の前回調査と比べて低下し、参加79カ国・地域のうち15位と大きく後退した。

〇数学・科学はトップクラスを堅持

PISAは義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測る目的で実施されている。

2000年から3年ごとに、読解力、数学的リテラシー、科学リテラシーの3分野で実施。前回からコンピューター使用型調査に移行。日本は高校1年相当学年を対象に、18年調査は同年6~8月に実施された。

日本の主な結果は次の通り。

読解力は、国別順位が参加79カ国・地域で15位、OECD加盟37カ国で11位。平均得点は504点。OECD平均より高得点のグループに位置しているものの、前回調査と比べても順位、平均得点共に低下した。

数学的リテラシーでは、国別順位が参加国・地域で6位、OECDで1位だった。平均得点は527点。日本の平均得点と統計的に有意差がない国は、台湾、韓国、エストニアだった。習熟度別の推移をみると、日本はレベル1以下(420点未満)の低得点層が少なく、レベル5以上(607点以上)の高得点層が多かった。

科学的リテラシーの国別順位は参加国・地域で5位、OECDでは2位。平均得点は529点。OECDで1位のエストニアと統計的な有意差はなかった。上位国に共通して、前回調査と比べ平均得点が低下する傾向がみられた。習熟度別の推移では、数学的リテラシーと同様、レベル1以下(410点未満)の低得点層が少なく、レベル5以上(633点以上)の高得点層が多い。

参加79カ国・地域では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で、中国から地域単位で参加した北京・上海・江蘇・浙江がいずれも1位、シンガポールが2位、マカオが3位を占めた。

平均得点と社会経済文化的背景(ESCS)の関係をみると、OECD平均も日本もESCSが高い水準であるほど習熟度レベルが高い生徒の割合が多く、ESCSが低い水準ほど習熟度レベルが低い生徒の割合が多い。

だが、日本はOECD加盟国の中で社会経済文化的な水準の生徒間の差が最も小さく、生徒の得点に影響を及ぼす度合いが低い国となっている。

〇教員として日本の学力をどう考えるか

PISAは世界規模で実施されている国際学力調査の代表格である。全体の概要と日本の結果の概要を知っておく必要がある。日本はおおむね良好な結果を示しているが、今回、中心分野である読解力で大きく順位を落とした。

この読解力の低下について今回の調査を取りまとめたOECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は「デジタル時代が到来し、読む行為には重要な変化があった。日本の生徒たちはデジタル世界で複雑な文章を読む行為を十分に経験していないし、日本の試験や成績評価もまだ十分に対応できていないのではないか」と述べ、デジタル時代に求められる読解力について、日本の教育の対応が遅れているのが原因との見解を示した。

国際的な学力調査における日本の順位の推移などを頭に入れておくとよいだろう。教員として、日本の学力向上について、どのような考えを持ち、どのような貢献ができるか考えておきたい。