【神谷正孝の教育時事2019(5)】「小・中学校不登校」の最新事情

kei塾主任講師 神谷 正孝

組織的・継続的な支援が必要

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。ここから年度末まではあっという間です。加えて、夏の採用試験まで対策のカウントダウンが始まっています。

今夏の試験動向がどのようになるかは分かりませんが、悔いのない勝負ができるよう、しっかりと備えておきたいものです。第5回の今回は、「不登校」について取り上げたいと思います。

不登校の捉え方と最新データ

不登校は、文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の中で集計されています。

小学校・中学校の不登校児童生徒数は2013年以降6年連続増加の傾向にありますが、それ以前の増加の背景と異なるのは、ずっと横ばいだった小学生の不登校者数が増加している点です。

不登校児童生徒が指導の結果、登校するようになった割合は多い年でも30%前後で、最新データ(18年)では、26.5%となっています。ざっくり言うとこれは、不登校児童生徒のうち、4人中3人は翌年度も不登校が継続するということ(実際にはこのように単純な話にはならないですが)で、一度不登校になるとなかなか登校するようになるのが難しい現状があります。

このような特性上、不登校児童生徒数は、学年が上がるごとに増加し、中学校3年生で最大になります。

不登校の支援

不登校の要因は、本人に関わる要因や家庭に関わる要因などさまざまあり、複数の要因が絡まり合っていることも多いために、一律の対応策では解決が難しいのが現状です。そのため、基本的な姿勢は「連携ネットワーク」での対応となります。

連携の対象は、教育支援センターなどの公的機関をはじめ、NPOなどの民間団体まで多岐にわたります。家庭環境に要因がある場合や、発達障害などが介在していることもあるため、医療や福祉との連携も大切な視点です。当然、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど専門家の力を借りながら対応することも求められます。

文部科学省は17年「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を決定し、その中で不登校への支援について「支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す」としています。

つまり、不登校児童生徒の学校復帰が最終目標ではない点を押さえておきましょう。なお、この基本指針は、16年に公布された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の第7条に基づくものであり、同法についても別掲の内容を確認しておきましょう。

なお、同指針では、「組織的・計画的な支援」として、学校や教員が専門スタッフなどと「連携・分担する『チーム学校』体制の整備を推進する」ことが大原則として示されています。「不登校児童生徒や保護者の意思を尊重しつつ、必要に応じ、福祉、医療及び民間の団体等の関係機関や関係者間と情報共有を行う」ことや「学校間の引継ぎを行う」など、継続した組織的・計画的な支援の推進についても言及されています。

その際のツールになるのが「児童生徒理解・教育支援シート」です。併せて確認しておきましょう。

*児童生徒理解・教育支援シート:支援の必要な児童生徒一人一人の状況を的確に把握するとともに、当該児童生徒の置かれた状況を関係機関で情報共有し、組織的・計画的に支援を行うことを目的として、学級担任、対象分野の担当教員、養護教諭等の教員や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどを中心に、家庭、地域および医療や福祉、保健、労働などの関係機関との連携を図り、学校が組織的に作成するもの。

【例題】
1 次の文章は,「生徒指導提要」(平成22年3月 文部科学省)の一部である。下線部A~Eについて正しいものを○,誤っているものを×としたとき,その組合せとして適切なものを1つ選びなさい。

不登校は「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいはA 社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし,病気や経済的な理由によるものを除く)」と,文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」では定義されています。日本の社会で不登校が問題となり始めたのは昭和30年代半ば,当初は「学校恐怖症」と呼ばれていました。その後,人数の増加とともに教育問題化し「B 登校拒否」と名称を変えることになります。さらに平成に入り,人数の更なる増加に加え,C 非行や発達障害,保護者による虐待などが背景にあるケースなど質的にも多様化が進んでいます。こうした事態を受け,不登校はもはや特別な状況下で起こるのではなく「どの子にも起こり得る」ととらえることの必要性が確認されました。それと同時に,広く学校に行けないあるいは行かない状態を指すものとして「不登校」という名称が使われるようになりました。

不登校の解決に当たっては「D 心の問題」としてのみとらえるのではなく,広く「進路の問題」としてとらえることが大切です。ここでいう「進路の問題」というのは,狭義の進路選択という意味ではなく、不登校の児童生徒が一人一人の個性を生かし社会へと参加しつつ充実した人生を過ごしていくための道筋を築いていく活動への援助をいいます。つまり「進路の問題」とは,「E 社会的自立に向けて自らの進路を主体的に形成していくための生き方支援」と言い換えることもできるでしょう。

A B C D E

1.○ × × ○ ○

2.× ○ × ○ ○

3.× ○ ○ × ○

4.○ ○ × ○ ○

5.○ × ○ ○ ×

解答 4
解説 正しくは「いじめ」である。生徒指導提要もよく確認しておこう。
2.次の各文は,文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(平成28年9月14日)で示されている「2学校等の取組の充実(2)不登校が生じないような学校づくり」の一部である。内容として適切でないものを選びなさい。
  1. 児童生徒が不登校になってからの事後的な取組だけでなく,児童生徒が不登校にならない,魅力ある学校づくりを目指すことが重要である。
  2. いじめや暴力行為を許さない学校づくり,問題行動へのき然とした対応が大切である。また教職員による体罰や暴言等不適切な言動や指導は許されず,教職員の不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は,懲戒処分も含めた厳正な対応が必要である。
  3. 学業のつまずきから学校へ通うことが苦痛になる等,学業の不振が不登校のきっかけの一つとなっていることから,児童生徒が,学習内容を確実に身に付けることができるよう,指導方法や指導体制を工夫改善し,個に応じた指導の充実を図ることが望まれる。
  4. 児童生徒が将来の社会的自立に向けて,主体的に生活をコントロールする力を身に付けることができるよう,学校や地域における取組を推進することが重要である。
  5. 児童生徒の個性が尊重される社会の状況の中で,学校,家庭及び地域等がそれぞれの意向で,独自に児童生徒へ働きかけ,支援することが重要である。
解答 5
解説 5:正しくは,「社会総掛かりで児童生徒を育んでいくため,学校,家庭及び地域等との連携・協働体制を構築することが重要であること。」である。文部科学省のウェブサイトで確認しておこう。
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