【神谷正孝の教育時事2019(8)】情報活用能力・情報モラル教育

kei塾主任講師 神谷 正孝

「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)から

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。新型コロナウイルス感染症対応の先行きが不透明な中、教育現場の皆さまは日々大変な毎日を過ごしていらっしゃることと存じます。そうした中、6月下旬より試験シーズン突入となります。他の公務員試験の延期対応も行われる中、不安な日々を送っておられると思いますが、どのような状況になっても平常心で臨めるよう、備えはしっかりと行っておきましょう。

「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)

「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)(以下「手引」)は、2017・18年告示学習指導要領において、「情報活用能力」が学習の基盤となる資質・能力と位置付けられ、教科等横断的にその育成を図ることが示されたことを受けて作成されたものです。

これまでも同様の「手引」が作られてきましたが、今回、その内容を全面的に改訂・充実するとともに、「プログラミング教育」「デジタル教科書」「遠隔教育」「先端技術」「健康面への配慮」などの新規事項を追加して作成されています。全文は文部科学省のウェブサイトからダウンロード可能です。

今回の「手引」は、全8章から構成されており、中でも第2章の「情報活用能力の育成」、第3章の「プログラミング教育の推進」については、空欄補充問題などで試験に出題される可能性も高く、要確認です。

また、第4章においては、「教科等の指導におけるICTの活用」として、具体的な指導について触れていますので、自分の目指す学校種や教科においてどのような取り組みが有効かについて確認しておくとよいでしょう。

情報活用能力の育成

「情報活用能力」とは、「世の中のさまざまな事象を情報とその結び付きとして捉え、情報および情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」と捉えられています。

さらに、「手引」では将来の予測が難しい社会では、情報を主体的に捉え、何が重要かを考え、見いだした情報を活用しながら他者と協働し、新たな価値の創造に挑んでいくために情報活用能力が重要であるとしています。

加えて、情報技術を「手段として学習や日常生活に活用できるようにしていくことも重要」であるとしています。情報活用能力育成の意義として押さえてきましょう。

「手引」では、これまでの情報活用能力についても触れながら、新学習指導要領において示された資質能力の3つの柱に沿って、別表の通りまとめています。

情報モラル教育

これまでも「情報モラル教育」は「情報活用能力」に含むものとして捉えられてきましたが、今回の「手引」でもその視点は変わっていません。学習指導要領解説において、情報モラルは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」とされ別表の通り具体化されています。

情報モラル教育では、最新の知識や技術に対応しながら、児童生徒が即座に出合うかもしれない危険をうまく避ける知識を与えるとともに、情報社会の特性の理解のもと、自分自身で的確に判断する力を育成することが大切です。「手引」の第2章第4節において、データを示しながら解説されているので確認しておきましょう。

 

【例題】
1.次に示すのは,文部科学省「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)の一部である。空欄に当てはまる語句を選びなさい。

「教育の情報化」とは,情報通信技術の,時間的・空間的制約を超える,( 1 )を有する,カスタマイズを容易にするといった特長を生かして,教育の質の向上を目指すものであり,具体的には次の3つの側面から構成され,これらを通して教育の質の向上を図るものである。

① 情報教育:子供たちの( 2 )の育成
② 教科指導におけるICT活用: ICT を効果的に活用した分かりやすく深まる授業の実現等
③ 校務の情報化:教職員がICTを活用した( 3 )によりきめ細やかな指導を行うことや,校務の負担軽減等

あわせて,これらの教育の情報化の実現を支える基盤として,

    •  教師のICT活用指導力等の向上
    •  学校のICT環境の整備
    •  教育( 4 )の確保 の3点を実現することが極めて重要である。
語群
ア 同時性  イ 双方向性   ウ 情報共有   エ 情報活用能力
オ 情報モラル カ 情報管理   キ 情報セキュリティ ク 情報安全
解答 (1)イ (2)エ (3)ウ (4)キ
解説 「教育の情報化に関する手引」第1章第1節を参照のこと。
2.次に示すのは,文部科学省「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)で示された「情報モラル教育」に関する内容である。適切でないものを1つ選びなさい。
  1. 情報モラル教育を行うに当たっては,教師が,インターネットの世界で起きている ことを把握した上で,児童生徒が将来,インターネット上のトラブルに巻き込まれないように,指導することの重要性を認識する必要がある。
  2. インターネット上のコミュニケーションも日常生活と同様に,向こう側に人がいることを意識させることが重要であり,顔が見えない分,日常生活以上に勘違いが起こる可能性は高く,注意すべき点があることについて指導する必要がある。
  3. 将来の情報技術の進展には先が見えないため,現在,インターネット上で起こっている多種多様なトラブルに対処することを第一に考え,トラブルに直面しても児童生徒が心身に大きな傷を受けることなく対応できるようにすることが重要である。
  4. 情報モラルは,学習指導要領では,学習の基盤となる資質・ 能力と定義された情報活用能力に含まれており、教科等横断的な視点に立った育成を行うものと記載されているため,学校を挙げて体系的に取り組む必要がある。
  5. 情報モラルの指導内容には様々なものがあり,それぞれを一回説明したりするだけでは,態度として身に付けさせるまでには至らないことから,繰り返し指導したりすることが大切である。
解答 
解説
「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月),第2章第4節を参照。「インターネットを取り巻く状況は 日々変化しており,児童生徒が遭遇するトラブルは,現在,インターット上で起こっているものだけにとどまらず,将来,情報技術の進展とともに多種多様なトラブルが起こる可能性がある。そのような中,トラブルに直面しても児童生徒が心身に大きな傷を受けることなく対応できるとともに,自らトラブルを予測し,迫りくる危険を回避できるように指導することも重要である。」と示されている。