【教員採用試験に向けて(1)】一人で何もかもできる人はいない

神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男
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教員採用試験の論作文、面接において、問題行動は重要なテーマであり、必ず取り上げられると言ってよいでしょう。この連載では、教員を目指す者として問題行動をどう捉えたらよいか、そして面接で問われたらどのように答えると面接官の評価につながるのかなどを考えていきます。

生徒指導の資質・能力

生徒指導と学習指導は「車の両輪」とも言われ、その指導力を身に付けることは、全ての教員に求められています。採用試験でその適否が試されることは当然です。

生徒指導力は、生徒指導に関する基本的な認識や姿勢(「心」=マインド)と、指導力・対応力(「技」=スキル)との総和です。筆記試験や面接で、「反抗する子をどう捉えますか」と問われたら前者(心)を、「いじめられたと訴えた子がいたらどうします」との問いには後者(技)の視点からの論述・返答が必要になります。

生徒指導の機能も開発的・積極的機能と、問題解決的機能に大別されます。「いじめ防止対策推進法」を例にとると、第14条に示された全ての児童生徒に豊かな情操や道徳心などを培う指導が開発的積極的機能に、第23条の「いじめに対する措置」を進めることが問題解決的機能に当たります。

生徒指導の意義・目的

開発的生徒指導の在り方や個々の問題への対処法について考察する前に、生徒指導の基本的な考え方を押さえておきましょう。必携図書は「学習指導要領(総則)」と「生徒指導提要」です。

新学習指導要領には、児童生徒に育む資質・能力について、「児童生徒自ら現在及び将来における自己実現を図っていくための自己指導力」や「社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力」が示されています。

今次の改訂では、全ての校種で「児童生徒の発達の支援」が新設されましたが、そこでは「児童生徒が、自己の存在感を実感しながら、よりよい人間関係を形成し、有意義で充実した学校生活を送る中で、現在および将来における自己実現を図っていくことができるよう、児童生徒理解を深め、学習指導と関連付けながら、生徒指導の充実を図ること」の重要性が強調されています。

「生徒指導提要」の冒頭には、「生徒指導とは、一人一人の児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めることを目指して行われる教育活動のことです」とあります。

生徒指導の現状・課題

生徒指導は全ての児童生徒を対象に、教職員だけでなく学校内外のリソース(資源)と連携・協働して進めなければなりません。「一人で何もかもできる人はいない」は、危機管理の箴言(しんげん)の一つです。

採用試験では、ついつい難語・巧言を探してしまいがちになりますが、名答は「すぐに先輩教員に報告・相談します」です。

生徒指導の現状は、新規採用教員が一人で対処できるほど甘いものではありません。児童生徒の生徒指導上の課題は多様化・複雑化しており、文科省の調査によると、ここ数年、いじめ、不登校、小学校における暴力行為、児童虐待、家庭内暴力、自殺の急増が目立ち、グラフでの右肩上がりはほぼ重なっています。

次回から、個々の問題事例を取り上げます。共に考えてください。


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