【教員採用試験に向けて(5)】児童虐待 「小さなサイン」を感じ取って

神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男
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急増する問題

児童生徒に係る問題(「不登校」は「問題行動」ではありませんが、生徒指導上の重要な課題の一つです)で、ここ数年間、急増しているのは何でしょう。

既に取り上げた「いじめ」「不登校」は正解です。これに加え、「児童虐待」「小学校の暴力行為」「家庭内暴力」「自殺」があります。

「急増している要因は」と問われたら、どう答えるでしょうか。自分なりの「解答」を用意しておくことが大事ですが、研究者ではないので、これまでの体験をもとにした持論の表明で十分です。

今回は「児童虐待」を取り上げます。

児童虐待の現状

親がわが子を暴行の果てに死亡させてしまったり、食事を与えることなく衰弱死させたりする「せっかん死」などは以前からありました。

2000年、児童虐待防止法が成立し、その後数度の改正を経て、虐待防止の体制は整えられてきました。しかし、児童相談所が受け付ける、児童虐待相談の受付件数は増加の一途をたどり、18年のそれは16万件に迫る数値となっています。

言葉での脅しなどの心理的虐待が最も多く、暴行を加える身体的虐待、食事を与えないなどのネグレクトがこれに続きます。性的行為を強いる性的虐待は全体に占める割合は低いとはいえ深刻です。

教職員の役割

対応策の質問では、他の生徒指導上の課題への対応同様、「速やかな通報」が重要です。「学年主任や管理職へ即座の報告」は、問題解決への出発点です。

児童虐待防止法(第三条)では、教師などに対して、「児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない」と、努力義務を課しています。

さらに、同法第六条には、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかに」、児童相談所などに「通告しなければならない」とあります。

通告は法律上の義務なのです。「思われる」ですから、「断定はできないが」「疑いが感じられる」は報告の範囲内です。「速やかに」とあるので、「直ちに」に限りなく近い「即刻」と考えてよいでしょう。

できることを着実に

通告義務と発見の努力義務に加え、法律では児童生徒や保護者に対する防止のための啓発や、当該児童の保護や関係機関への協力についての定めがあります。

また、児童相談所などへの通告が秘密漏えい罪に当たらず、個人情報保護に係る法律などにも抵触しないことも明記されています。

「小さなサインに大きな問題」と言われます。サインに気付く感性は、教職経験を積む中で少しずつ身に付いていくものですが、虐待に関しては、「小さなサイン」(家に帰りたがらない、などのそぶりなど)から、「大きな問題」(虐待被害)を感じ取ってほしいものです。そして、何より大切な管理職への「速やかな報告」を忘れないようにすることが大事です。


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