【教員採用試験に向けて(9)】学習指導要領と生徒指導 未来の創り手を教育活動全体で育む

神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男
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「社会に開かれた教育課程」と生徒指導

新学習指導要領では、学校と社会が連携・協働して、「未来の創り手となるために必要な資質・能力」を育む「社会に開かれた教育課程」が目指すべき教育理念として位置付けられました。求められる資質・能力は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱にまとめられました。

これを基に、教育活動に地域住民や保護者の協力を得る際に、目標の具体化・共有化を図ることが「社会に開かれた教育課程」の考え方です。生徒指導の観点からの議論の深まりが期待されます。「総則」に「児童(生徒)の発達の支援」の節が初めて設けられたのも、新学習指導要領の特色の一つです。

ここでは、生徒指導の意義が明記され、「主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンス」と「一人一人が抱える課題に個別に対応したカウンセリング」が併記されました。「ガイダンス&カウンセリング」は「生徒指導」と訳された経緯があり、ここでも生徒指導重視の姿勢がうかがえます。

教科指導と生徒指導

生徒指導は、教育活動全体で機能することが求められています。授業中に規律指導などが行われることもありますが、授業は人格の尊重や個性の伸長など、教科等横断的に目標を達成する場でもあります。

新学習指導要領では、各教科等の教育内容を横断的視点で組織的に配列するカリキュラム・マネジメントの重要性が指摘されました。地域など外部資源の活用なども含め、教科指導における生徒指導の役割を明らかにする必要があります。

道徳科と生徒指導

道徳科が新設されました。学習指導要領改訂の基本方針では、これを要として、「道徳教育の趣旨を踏まえた効果的な指導を学校の教育活動全体を通じてより確実に展開する」よう求めています。

また、内容項目の中には「自主、自律、自由と責任」「相互理解、寛容」「遵法精神、公徳心」など生徒指導と関連の深いものが多数挙げられています。配慮事項には「情報モラル教育の充実」が加えられました。生徒指導との関連に留意した指導が望まれます。

特別活動と生徒指導

自己を生かす能力を養う学級(HR)活動、異年齢の児童生徒同士が協力し学校生活の充実に取り組む児童(生徒)会活動、集団への所属感・連帯感の涵養を目指す学校行事によって構成される特別活動は、集団活動を通じて豊かな人間関係の構築や自己決定の体験が期待されます。

生徒指導の機能を意図的・計画的に生かしていきたいものです。

総合的な学習(探究)の時間と生徒指導

総合的な学習(探究)の時間の目標の一つに、「探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度を養う」とあります。目標達成のためには、全教員の協働や地域などとの連携が不可欠です。生徒指導の機能が役立つこと必定です。


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