【教員採用試験に向けて(10)】学校荒廃 気負い過ぎず背負いすぎず

神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男
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「学校荒廃」の系譜

「学校荒廃」とは、児童生徒の暴力行為、器物損壊、授業妨害などにより、学校全体の教育活動や学校運営が著しく阻害されている状況を言います。

広くくくれば、1960年代の大学紛争や高校紛争も含みますが、文科省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」では、「暴力行為」(対教師暴力・生徒間暴力・器物損壊・対人暴力)の発生件数は小中学校で9割を占め、「学校荒廃」は今日では小中学校の問題となっています。

深刻な小学校の暴力行為

小学校における暴力行為の発生件数は、97年から調査対象に加えられました。この年の発生件数は1304件で、小中高全体に占める割合は5.5%でした。

その後、増加の一途をたどり、特にここ数年の小学校における急増ぶりは目を覆いたくなるほどです。2013年には、高校(22%)を逆転し、18年には、中学校(40.2%)をも超え、全体に占める割合は50.1%と、過半数に達しました。

「学級崩壊」の態様

当初、「小1プロブレム」「学級崩壊」が話題になり、主として小学1年生の問題が論じられました。

1998年11月から、教師への反抗や授業規律の実態を連載し、『学級崩壊』にまとめた朝日新聞社会部は、「高学年の場合と低学年の場合ではタイプが違うのではないか」との疑問を呈し、「高学年の崩壊は、担任を拒否し、授業を妨害するという性格が強い。

だが、低学年の場合は、クラスとしての振る舞いができていたものが崩れるというよりも、そもそも入学当初からできていない感じだ」と分析しています。その見識には驚きを禁じ得ません。

「学級崩壊」への対応

例外もありますが、小学校の場合、「校内暴力」と称された中学校の「全校の荒れ」と違い、学級単位での授業抜け出し・妨害行為、級友へのいじめ行為、教師への反発・反抗などが頻発する場合が目立ちます。

このため、学級担任の指導力が問題視されることが多々見受けられますが、一学級の問題が学年や学校全体の問題に拡大していくプロセスを追求すると、「個人より組織の問題」が明らかになります。

もちろん、日頃の学級経営の在り方を自省し、「足らざるを補う」姿勢は大切ですが、「自分の力で」と気負い過ぎないことです。同僚や保護者への率直な訴えや支援の要請は、後にいくらでも「恩返し」することができます。さまざまな問題行動を繰り返す背景には、個人的な特性や事情があることがあります。正しいアセスメント(見立て)が必要です。先輩教師らからの助言を生かすよう努めることが大切です。

個々の子供への指導と共に、学級集団の「育ち」への働き掛けも重要です。どちらも、基本姿勢は「ダメなことはダメと要求する厳しさと、一人一人を温かく励ます優しさ」です。


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