【最新の教育評価入門講座(2)】何を評価するか…観点別評価

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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新しい学習評価は3つの観点で構成

知能検査は当然のことですが「知能」を評価(測定)するものです。学校での学習評価の「学習」とは何を評価するものでしょうか。これについて1950年代中頃までは、「能力」などと漠然と考えるのが普通でした。

1956年にアメリカのB・S・ブルームが「教育目標の分類学」という本により、「能力」の内容を分析的に考えることを提案しました。ブルームは認知的な能力に関して6つの能力、すなわち「知識、解釈、応用、分析、総合、評価」に分類できるとしました。この6つは「知識」を最も初歩的な能力とし、「評価」を最も高度な能力とする階層構造を持つとしました。さらに、ブルームは6つの能力を評価する問題例も示しました。

その後の研究で、6つの能力に分けて評価するのは難しく、実際評価できるのは「知識」を一方の極とし、「評価」を他方の極とする2つであることが分かりました。現在では、「評価」を他方の極とする能力は、高次の技能(higher order skills)と言われています。また、階層構造も否定されました。

ブルーム以降、分類の仕方はいろいろあるにしても、認知的な能力を分析的に考えることが普通となりました。わが国の学習評価における観点別評価も、分類の仕方や名前は違いますが、分析的に考える点ではブルームを受け継いでいると考えられます。

新学習指導要領に対応する学習評価は、3つの観点で構成されることとなりました。以前は4つの観点「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4観点(国語は5観点)でしたが、「知識・理解」と「技能」が統合されて「知識・技能」となりました。つまり認知的な能力に関しては2観点、「知識・技能」と「思考・判断・表現」となったわけです。これはブルームの6つの区分が最終的に2つになったことと符合するものです。わが国の「思考・判断・表現」の観点は、ほぼ高次の技能に相当します。

情意的側面を評価する観点であった「関心・意欲・態度」は新学習指導要領での観点としては「主体的に学習に取り組む態度」に変わりました。この新しい観点では、従来の「関心・意欲・態度」の意味内容に加えて、メタ認知能力と粘り強く学習に取り組む態度が加わりました。メタ認知能力とは、自分の学習の状況について自分で認識する能力のことです。つまり自分の学習について、うまくいっているか、問題点がないかを自分で判断して、必要ならば修正していく能力のことを言います。

以上の3観点を合計して1つの指標としてまとめたものが評定となります。3つの観点を合計して評定を導く方法は、各学校の裁量に任されています。小中学校と異なり高等学校では、これまで指導要録に観点別評価を記入する必要はなく、評定だけ記入すればよかったのですが、新学習指導要領では、高校でも観点別評価を記入しなければならなくなりました。


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