【最新の教育評価入門講座(3)】評価の手段…新しい評価方法の登場

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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新しい評価方法の特徴を考える

何を使って評価するかと聞かれれば「テストで」と答えるのがこれまでの答えでしょう。確かにテスト、厳密に言えばペーパーテストですが、これを用いる評価が今も普通に使われています。しかし最近では、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価など以前にはなかった新しい評価方法が登場してきています。

最も使われているペーパーテストですが、これにもいろいろな種類があり、それぞれ特徴(長所と問題点)があります。

まず多肢選択式テストがあります。これは大学入試センター試験で使われてきた方法です。通常4つないし5つの選択肢から正解を選ぶものです。

〇×式のテストは多肢選択式で選択肢が2つの場合と考えることができます。多肢選択式テストの長所は、短時間で広い学習範囲の問題を出題できることです。

その一方で他者が考えた正解を選択すればよく、正解を自分で考える必要がないことが問題です。

最近の学習指導要領では、課題や問題に直面した場合、自分で適切な答えを考える資質や能力の育成を目指しています。正解の内容を自分で考える必要がない多肢選択式は、このような目標から考えれば問題です。

多肢選択式テスト以外では、いわゆる記述式テストがあります。これには用語や語句を答えるものから短文で答えるもの、長文を書くものまであります。書く文章が長くなればなるほど、自分で考える必要が増えてきますので、その点が長所と言えるでしょう。問題は、長い解答を求めるほど採点が難しくなることです。

新しい評価方法が必要となったのは、OECDの提唱するコンピテンシーに代表される能力育成が求められ始めたからです。コンピテンシーとは実際生活に活用できる能力や技能のことです。要するに実践力のことです。これはペーパーテスト中心の評価の修正を求めています。

例えば理科の実験・観察能力をペーパーテストで実験道具の図を示して問題に解答させ正解しても、実際に実験や観察ができるとは限らないことが分かっています。最も確実なのは実際に実験・観察活動を実行する中で評価することです。このように実際の活動を用いて評価することをパフォーマンス評価といいます。社会科では調べ学習が求められていますが、実際に生徒が調べる活動をする中で評価することがパフォーマンス評価となります。

この他にポートフォリオ評価も新しい評価方法です。ポートフォリオとは書類の保存ケースのことです。このポートフォリオに生徒の能力や技能を代表する作品や学習成果を入れて保存することをポートフォリオ評価と言います。生徒の作品や学習成果を何でも保存するのではなく、生徒の能力や技能が最も発揮されたものを選択して保存することが重要です。保存していた作品などを上回る成果が見られたら、ポートフォリオの中身を新しいものと入れ替えます。

この評価方法は、小中学校の「総合的な学習の時間」(高校は新学習指導要領から「総合的な探究の時間」となりました)の評価方法として適しています。


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